わぁ,幕末の大砲!

 「金今」(けん)林必携

   けんりんひっけい


Ver. 1.5 更新


★ 表題の「「金今」(けん)」という文字は画像で表示しているため,色や大きさがそろっていませんのでご了承願います。


 各種の大砲や弾薬の大きさ,重さなどが表にしてあります。また巻末にはいろいろな大砲の図面が掲載されています。  どうも,幕末に書かれた砲術のハンドブックのようで,大砲の寸法から角度と射程距離,更に陣地についてや,部隊の編成など大砲を用いるためのあらゆることが記載されているようです。

 二編の最後のページには「嘉永六年(1953年)」とありますが,まさにその年の6月3日には,ペリー率いる4隻の黒船が浦賀沖に現れていたのです。

 なお,一編の表紙裏面の表題の「「金今」(けん)」という文字の右部分の「今」が 鏡文字() になっているのは,単なる間違いなのでしょうか? (二編の表題と比べてください。)
※「ようこそ今昔文字鏡の世界へ!」を見ると,CD-ROM 製品のロゴの「今」という文字が 鏡文字() になっています。
 また,「中国茶・茶器専門店 今古茶籍」も同様です。

 鏡文字の「」については, Internet Explorer では鏡文字として表示されますが,Mozilla Firefox では通常文字で表示されてしまいます。
 これは html の「filter:FlipH」を使ったのですが,マイクロソフトのみのローカルプロパティだったようです。ごめんなさい。

請求記号登録番号備考
395 / UED / 2-16052055 ※ 貸し出しはできません
395 / UED / 2-26052056
「金今」(けん)

【2005.02.08 補記】
 昨日(2005.02.07)来館された平泉勝山市立図書館長からの助言をいただき,「五體字鑑」を見て見ました。
 はじめはてっきり漢字ということで,言語の場所を探していたのです (^^;  ない!ない! あれぇ,そういえば「五体」っていうのは「書体」だったような・・・ということは書道!? (利用者の方にはまず OPAC で検索してね,というのに・・・)
 ということで

728.03 / MAT
「五體字鑑/松田 舒」(共益商社書店)
三帙全12冊

を見て見たところ,第11巻 117 ページ(八畫 金部)に 「「金今」(けん)」 があり,「説文」と書かれた書体は,まさに右側の「今」が鏡文字となっているもので す!!
 でもこの「説文」の意味がわからない!?  ということでインターネットで検索したところ 「 説文解字 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」 というページに

説文解字(せつもんかいじ)略して説文ともいう。最古の漢字字典。後漢の許慎(きょしん)の作で和帝のとき(紀元100年/永元12)に成立。叙1篇,本文14篇、所載9353字。漢字を540の部首に分けて体系付け、その成り立ちを「象形・指事・会意・形声・転注・仮借」の6種(六書;りくしょ)に分けて解説する。
   以下 略

と記載されていました。

 また,参考図書室にある

813.2
「大漢和辞典/諸橋轍次」(大修館書店)
全12巻,索引

を調べたところ,第11巻 502 ページ(金部)に 「「金今」(けん)」 がありました。
 その横に元となった古字があり,これも右側の「今」が鏡文字となっているものです!! そしてそこには「小篆」と表示されていました。
 早速インターネットを検索して見たところ 「書や篆刻についての知識を簡単にお話しします。」 というページに

● 小 篆(しょうてん) ・ 秦代
 紀元前221年、秦の始皇帝が文字の統一を図るために、大篆を基にして作らせたものです。
この小篆は、篆書の完成型ともいうべきもので、後の隷書などの母体となりました。

との説明があったのでした。


内容の一部

 写真上段左から3枚目左ページの最初に「陸軍迦[火内]」([火内] はフォントがないので)とありますが,多分カノン砲のことと思われます。(違っていたら・・・以下の説明はボツ! ゴメンなさい。)
私立PDD図書館/百科辞典」では

かのんほう《かのんはう》
【カノン砲】
◇[蘭]kanon、[英]cannon
○[軍]砲身長が口径の20倍以上ある火砲。
 比較的緩焼性の多量の火薬を用い、弾丸の発射速度が速く貫徹力は強大。
 通常は射角45度以下の低い弾道(平射弾道)で射撃され、長距離射撃に適する。
 用途により高射砲・野戦重砲・戦車砲・要塞砲・海軍砲(艦砲)などに区分される。
「加農砲」「カノン」「キャノン」とも呼ぶ。
 参照⇒はくげきほう(迫撃砲),きゅうほう(臼砲)
◎英語では通常「ガン(gun)」を使用する。

とあります。

 上記の「 私立PDD図書館/百科辞典」によれば「カノン」はオランダ語からきているようですが,さすがに鎖国状態の江戸時代,唯一交易を認められたオランダの影響は大きいようです。
 少なくとも「'96 自衛隊装備年鑑」には「155mm 加農砲 M2」という名称で写真とともに諸元,性能が掲載されています。
 また,現在まだ活きていると思われる 「 陸上自衛隊整備規則(直近改正 平成16年3月29日達第71−4−16号)」 の「別紙第3(第7条関係)予防整備点検表(作業用紙)」には,
  「予防整備(C・D)作業用紙(155mm・203mmりゅう弾砲、155mm加農砲)」
という記述を見付けられます。
(「大砲データベース(米国)155mm加農砲M2/M59」 には,「155mm 加農砲 M2」について,
  『陸上自衛隊には、1954年から供与が始まり、全供与数は30門であった。1964年から203mm自走榴弾砲M110A2の部隊配備が始まり、1996年までにすべて退役している。』
と書かれています。
 鎖国時代のオランダの影響は現代まで続いていたと思うと,なかなか凄いことですね。

一編,二編 一編 表紙裏面 嘉永四年嘉平月(1851年12月)
田原藩 上田亮章謹識
大砲図版 二編 表紙裏面
嘉永六年六月 南参田原 上田亮章謹識 砲塁の図版 帆船の図版 田原藩上田氏蔵版 嘉永六年(1853年)

インターネットで検索して見ました

● Google で検索

 実は,表題をちゃんと見ずにキーを『鈴』林必携 として検索したら,

キクオ書店在庫目録:和装本:洋学・科学・医学

が見つかりました。

 422/鈴林必携/下曽根信敦(閲)/図版入 少鼠・虫喰/嘉永5/57,750円
 *西洋砲術簡便書。上田亮章著。

※ たまたま間違って検索したことでヒットしたのですが,正確な文字で検索していたら Google や YAHOO! ではヒットしなかったのでした。(2004.10.06)

● 国文学研究史料館の古典籍総合目録で検索

 最初思い込んでいた「鈴林必携」を「書名」で検索したのですが,ヒットしません。
 そこで,「キクオ書店在庫目録」に記載されていた「上田亮章」を「著者名」として検索 [諸本一覧表示] したところ,8件ヒットしました。更に [全選択] をクリックし,[諸本詳細] をクリックすると,嘉永5年のものや巻数の異なるものもあるのがわかりました。

 国文学研究史料館 http://www.nijl.ac.jp/index.html
  └ 古典籍総合目録の検索 http://base1.nijl.ac.jp/~koten/ksearch.html

國書總目録では

請求記号資料 ID記述巻ページ等
025.1 / KOK30161240245第三巻 け−さ p.174


v1.5 2005.02.08 自衛隊とカノン砲の説明追加
v1.4 2005.02.08 カノン砲の説明追加
v1.3 2005.02.08 「今」に掛かる鏡文字について補記
v1.2 2005.02.04 「filter:FlipH」プロパティが MS ローカルだったことを追記
v1.1 2004.??.?? 「今」の鏡文字が現に使用されていることを追記
v1.0 2004.10.06