福井大学附属図書館報「かりん」   No.28


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図書館の現状と私の希望


                                         山 本 浩 史

 この二月十日で私が図書館長になって一年を迎える。 やっと様子が分かり始めた所である。 先ず卑近な所から始めると、 館長室が大きくゆったりしていること、 窓から眺める白山遠望の美しいことなどである。 残念ながら併任のため、 学科の仕事が忙しく、 あまり長時間席を暖めることがない。 次に館内職員とも親しくなって、 皆が一所懸命に仕事に励んでいるのがよく分かる。 また、 職員同志の親睦がよく図られていて、 気持ちよい職場であるのは図書館の伝統かもしれない。 図書館の仕事は専門的な部分が多く、 司書の資格を持つ人がかなり居るためか、 職員の交替は比較的少ない。 しかし、 この一年の間に事務長をはじめ数人の入れ替えがあった。
 さて、 私は図書館で何が出来るかいろいろ考えて見たが、 なかなか新しいことはでてこない。 一つにはすべて予算が関係してくるからである。 図書館は既に手狭になって、 図書の収納庫が不足している。 実際、 両学部に移管してある書籍が全部返還されてきたら、 もうお手上げの状態である。 図書館が大学全体の書籍を一手に管理すべきだと言う議論もあるが、 建物や設備が整わない限り無理であろう。 現在図書館が目指しているのは図書の電子化である。 すべての書籍や文献、 古文書などがパソコンで検索できるなら、 便利なのは間違いない。 これにはまだまだ多くの費用と努力が必要である。 これに向かって図書館は一番活動している。 一つ図書館には自慢できることがある。 これは私の手柄ではなく、 図書館職員の業績である。 それは全国に先駆けて日本の図書館や情報提供機関のメンバーが参加したインターネット・サービスを本学図書館の 「Karin」 が主宰していることである。 このインターネットは盛んに利用されていて毎日何通もの情報が交換されている。 これによって全国の図書館の動きが把握されていて、 本図書館が考えの上で他に遅れをとることはない。
 現在、 全国的な傾向は図書館と情報処理センターの建物を合併して、 その機能を充実・高度化を図ろうと言うものである。 既にこれが実行されている大学も二三見受けられるが、 これを福井大学に当てはめて考えるならば、 ここ数年のうちに実現されるとは思われない。 それは新しい建物を作ることが大学のキャンパス計画とも絡み、 なかんずく大学の改革が進展しない限り残念ながら望みはない。
 それではあまり大規模なことでなく、 何とか私の在任中に出来るものはないか。 私には二三の考えがあった。 図書館は参考書を見て勉強するだけのために学生が来るところではなくて、 何かもっと学生が行ってみたい、 覗いてみたいと集まって来る所にならないかと思うのである。 そこで思い付いたのが、 一つにはあまり学問的な参考図書ばかりでなく、 もう少し心の安らぐもの、 実用的なもの、 例えば小説、 趣味・娯楽的な本、 資格を取るのに必要なガイドブックも少しは揃えてはどうか。 将来はいざ知らず、 現在の所漫画まで置くのには賛成しかねる。 次に、 図書館に未だ空いている場所はないか。 二階と三階の階段を上った所にあるロビー風のコーナーと廊下がある。 この空間を利用して、 絵画、 書、 彫塑、 写真などを展示してはどうかというものである。 例えば学生の作品が一二週間大学全体に見てもらう機会を得ることはよい効果をもたらすに違いない。
もう一つ私が気になっていることがある。 これは福井大学の教官が何を研究しておられるのか、 学内の学生はおろか教官でさえ分からないのが現状である。 無論、 直接聞けばよいのかもしれない。 しかし、 学生にとっては遠慮もあって難しい。 そこで、 図書館内に福井大学教官コーナーを設けて、 各教官の論文、 作品、 著書などを自由に見られるようにしてはどうか。 これについては既に図書館委員会にもかけ、 両教授会にも口頭で報告してもらっているが、 未だに実現していない。 一つにはこれを陳列する書架が購入できないためである。 もしこれが実現すれば、 学生が卒業研究にどの教官を選べばよいか調べたい時に、 教官の研究論文などを参考に出来るなら、 少しは自分に合った研究室に所属出来るのではないか。 また、 研究に行き詰まったり、 研究の相談をしたい時、 同じような研究をしている教官がいることが分かれば心強いに違いない。 ただ反対意見として、 これは勤務評定ではないかというものもあろう。 研究論文の少ない人は不快になるかも知れない。 仕事によって論文の出にくい分野があるのは当然である。 私の研究分野は理論物理学であるが、 私の論文数は大変少ない。 もっと難しい数学基礎論に到っては、 一生のうちに一つでも立派な論文が出れば上首尾と言うものである。 それでも学会で十分評価されるものである。 要は数でなく内容である。 自分の論文を公開して批判を受ける位の寛容さが欲しい。 自己点検評価にもつながると思う。
 小さいことではあるが以上の二件だけでも在任中に実現できればと願っている。
(やまもと・ひろし 附属図書館長)



「天津図書館日本文庫」 訪問記


                                         小 川 栄 一

 天津市は、 首都北京市より東南へ約140km、 人口約800万の中国第三の大都市、 商工業都市として栄え、 神戸から定期船が通う港町でもある。 天津図書館は天津市のほぼ中央に位置しているが、 その中にこのほど 「天津図書館日本文庫」 が開設された。 私は昨年の2月末より7月半ばまで、 国際交流基金の要請で北京日本学研究センターに講義等のため出張していたが、 6月22日、 同センターの木山英雄主任教授 (一橋大学社会学部教授) を始め日本からの派遣専門家10数名らとともに、 北京からハイウェーを飛ばして約2時間、 期待に胸はずませて訪問した。
 天津図書館日本文庫の歴史は、 1905年 (清国光緒31年) 8月に設立された 「清国天津日本図書館」 に遡る。 当時の天津には、 1899年から起きた義和団の乱の後、 1901年に結ばれた北京議定書によって、 日本を含む8カ国の租界が設けられていた。 日本は中国に数十の図書館を建設しているが、 これは最も早い時期の設立である。
 中華民国発足の後、 1914年には移転して、 名前も 「天津日本図書館」 と改められ、 1935年には大和公園の中の新館に移転している。 1937年の日華事変以後、 天津に在住する日本人が激増し、 それにともなって天津在住日本人の子女も増加したので、 同年、 同図書館の蔵書の中から児童書を分出して、 「天津日本児童図書館」 が設立された。
 1945年、 日本の敗戦にともない、 この二つの図書館は政府に接収され、 中華人民共和国発足後は共産党政府の手に託された。 1947年に 「天津図書館準備委員会」 が当時の天津市政府に提出した報告によると、 接収された蔵書の内訳は和書57,025冊、 洋書10,181冊、 漢籍17,579冊、 当時の価格にして、 総額224,127元であったという。 しかし、 それから約半世紀、 天津日本図書館旧蔵書は天津図書館の書庫の中で梱包され封印されたまま、 ひっそりと長い眠りにつくこととなった。
 日中国交回復して18年後の一昨年、 これら天津日本図書館旧蔵書はようやく封印を解かれ、 天津図書館新館の書庫に移されて、 日本万国博覧会記念基金の援助、 及び京都大学名誉教授竹内実氏、 杭州大学教授王勇氏ら日中の多くの学者や専門家の指導と賛助を得ながら、 「天津図書館日本文庫」 と命名されて、 昨年より約6万冊が公開されることとなった。
 私たち一行は、 劉久昌副館長らの熱烈な歓迎を受け、 日本文庫の概要について説明された後、 早速書庫に案内された。 その書庫はなんと16階にあった。 天津図書館の中央には塔状の書庫が天高くそびえているのである。 エレベータで上昇する間、 高層の書庫を作って建物が本の重さに堪えられるのかと質問したが、 設計上問題はないということであった。
 16階に着いて館員の人が文庫の扉を開けようとガチャガチャやっていたが、 どうしたことか開かない。 なんとカギを間違えたという!カギを下の階まで取りに行って戻るまで思いのほか時間がかかったが、 待たされただけに書庫の中に入った時の感激はひとしおだった。
 まるで半世紀前の世界にタイムスリップしたかのような印象を受けたのである。 やや薄暗くて広大な一室の、 人がようやく通れる間隔のスチール書架に古書が整然と並べられていた。 当時の日本の学術や文化を書物として保存している。 学術に全力を傾けていたその頃の日本人の心意気に圧倒されてしまった。
 各書棚を回って見ると、 最初に説明されていたとおり、 ほとんど分類整理がなされていない。 梱包されていた図書を出して、 そのまま並べただけだそうだ。 だから、 一冊の本を探すにも広い書庫の中を隈なく見なければならない。 私の専門である国語国文関係の本もあちこちの棚にバラバラに置かれているが、 そのことがまた親近感を感じさせる。 仮りにきちんと整理して並べられていたら、 かえって疎遠に感じるのではないか。 半世紀以前に刊行された書物ばかりであるから、 その多くは、 表紙も傷み、 紙も黄ばんでいる。 そっと、 慎重に扱わないと壊れてしまいそうだ。
 天津図書館日本文庫はさながらタイムカプセルである。 半世紀を経て今、 歴史の生き証人として、 戦前の日本及び中国に関する学術、 政治、 経済、 社会、 歴史など広範な研究資料として蘇ったのである。 箱詰めにされて、 長らく書庫の中で眠っていたのは誠に残念でもあるが、 そのことがむしろ幸いして、 散佚することなく現在まで残された。 そして、 憎き敵国のものでありながら、 これら大量の図書を処分することなく保存してきた中国の人々の懐の深さに、 あらためて敬服する次第である。 日本の図書館でも、 これほど多量の古書を処分せずに残しているところは決して多くはないと思われる。
 現在、 白春蓮女史をチーフにして、 計7名のスタッフで蔵書の整理作業が精力的に進められている。 彼女は大連日本語専門学校 (現在の大連外国語学院) の卒業で、 日本にも6年間滞在した経歴があり、 仕事に対するひたむきさと専門知識を持った聡明な女性であった。 和書の分類やカード作りには、 読みにくい書名や人名もあって、 様々な苦労があるそうである。 天津に住む日本人にもアルバイトとして手伝ってもらっているという。 今後はコンピュータ処理の導入も検討されている。 整理作業に着手してから日が浅いが、 すでに漢籍の目録である 『天津図書館蔵日人漢文書目』 が刊行されている。 和書目録の作成も進行中である。
 日本文庫にある和書の内容は、 哲学2700余種、 歴史5700余種、 言語1100余種、 文学8200余種、 芸術1100余種、 社会科学 10000余種、 自然科学3300余種、 工学1000余種、 産業2800余種、 その他1600余種である。
 蔵書の中には研究上貴重な図書が多数含まれている。 中でも中国の政治、 経済、 文化及び地方に関する書物が多いことは注目に値する。 これらによって当時の日本が中国をどのように見ていたかが分かる。 たとえば、 『支那大未来記』、 『支那貿易案内』、 『清国対外国間条約』、 『大東合邦論』、 『支那経済資治概覧図表』、 『直隷職業教育与地方物産』、 『移民調査報告書』 などがある。
 また、 天津日本租界居留民団に関する内部資料もある。 『天津居留民団三十周年記念誌』 には、 居留民から見た日清戦争、 義和団事変などの興味深い記述がある。 和刻本の漢籍も200種以上ある。 その中に宋代の詩人元肇の詩集 『淮海じょ音』 があるが、 中国では亡佚してしまった書だそうだ。 中国に里帰りといった趣である。
 なんと 『福井県三方郡誌』 の手書き原稿があった。 印刷所に回すための清書原稿であったようで、 印刷のための様々な指示が朱で記入されていた。 ちなみに、 『福井県三方郡誌』 は明治44年に発行されている。 「例言」 によると、 編集兼発行は福井県三方郡教育会 (会長、 白男川譲介) で、 会長が編集委員長を兼ねているが、 実務上の編纂責任者は山本元であり、 吉田芳松が校訂を担当し、 また、 各村ごとにも編纂委員を委嘱している。 日本文庫に現存するこの原稿は、 各執筆者の書いたものを編纂し浄書したものである。
 館員の方々にいろいろと説明されながら、 約1時間ほど日本文庫の本をあれこれ眺め、 名残を惜しみながら退室した。 皆が退室して施錠したところ、 読書に夢中になっていた教授の一人がうっかり中に取り残されてしまった。 すぐ気が付いて事なきをえたが、 とんだハプニングであった。 その後、 「狗不理」 (中国語ではゴウプーリと読む。) という肉鏝の老舗 (「狗不理」 という店名は初代店主の幼名で、 「犬も相手にしない」 という意味である。) に案内され、 本場の肉鏝に舌鼓をうちながら、 親しく盃を交わして、 楽しい語らいのひとときを過ごした。
21世紀はインターネットが普及し、 電子出版も一般化して、 著者がインターネット上に電子データとして著書や論文を発表する時代になるかもしれない。 若者の活字離れも進行して図書の出版は激減し、 各研究室や自宅のコンピュータから著作データにアクセスして、 ヴァーチャルリアリティ技術の発達で、 実物の本と同じように読めて、 必要ならプリントアウトすればよいことになるのだろう。 図書館にも重くてかさばる書物の代わりに、 コンピュータとソフトだけが置かれるようになるかもしれない。 しかし、 本には手触りや暖かみだとか、 本を開く時の感動だとか、 人の心を動かす不思議な魅力がある。 自分の書棚に並んだ本には一冊一冊に読んだ時の思い入れが残るし、 まだ読んでない本を見ると、 早く読みなさいと言われるようだ。 それに対して電子データではいかにも無機質的ではないか。
 一昨年の夏、 「耳をすませば」 という近藤喜文監督、 宮崎駿製作のアニメ映画が上映された。 子供たちと一緒に見に行ったが、 主人公の少女が図書館で本を借りると、 その本の貸出カードになぜかいつも同じ男の子らしい名前がある。 少女はその少年を知らないが、 次第にその少年がどんな人か興味を持つようになる。 そして、 二人は出会って愛し合う。 私はこの映画を見て以来、 図書館で本を借りると、 自分よりも前に読んだ人や借りた人がどういう人か興味を抱き、 かつてこの本を読んだ人に対して自ずと親近感を覚えるようになった。
 天津図書館日本文庫の蔵書を読んだのは、 もちろん天津租界に住んでいた日本居留民たちである。 私が日本文庫の書庫で手に取った本は居留民の人が読み、 その人たちの手のぬくもりが伝わってくるようである。 今のようにマスコミも発達せず、 日本からの情報も少なかったであろう当時、 居留民の人たちは熱心に読んだものであろう。 ずらりと並んだ蔵書を見ながら、 当時、 天津に渡って生活し、 これらを読んだ人々に深い愛着と親近感を抱き、 なんとも熱い感慨を覚えたのである。
 最後になるが、 貴重な日本文庫の保存と整理に全力を投入している天津図書館の方々に敬意を表するとともに、 かつ私たちを温かく迎えていただいたことに、 この場を借りて心より感謝の気持ちを申し上げる。 福井大学の教職員や学生の皆さんで天津に行く機会があったら、 ぜひ一度、 この天津図書館日本文庫に立ち寄ることをお勧めする。
 なお、 本稿の執筆にあたっては、 竹内実先生の 「蘇る日本図書の光」 (中日新聞 1995.7.20)、 及び天津図書館で作成した 「天津図書館日本文庫簡介」 (1995.9.30) を参照させていただいた。
     (おがわ・えいいち 図書館委員)



デンマークのフォルケホイスコーレ


                                         桜 井 康 宏

 この5月から、 文部省の在外研究員制度を利用してデンマークのオーフス市に2カ月間の滞在を予定している。 受け入れ先との事前連絡等も順調に進んで、 あとは文部省からの正式通知を待つのみなのであるが、 受け入れ先である大学の研究室に閉じ込もるつもりは全くない。 といって観光気分で遊び回るつもりでももちろんなく、 日本での日頃の研究と全く同様に 「まち」 に出て、 五感をとおして生活と環境を感じとり、 障害者や高齢者を含めた市民の生活と生活空間の実態をつぶさに調査したいと考えている。
 その打ち合わせの意味もあって、 去る1月末には、 オーフス市議会の福祉委員長でもある女性議員と福祉サービスの最前線で働く女性を福井に招いて講演会を開催した。 テーマは 『デンマークの高齢者福祉の最前線』 である。 福井市や建築士会等の支援もいただいたおかげで市内外から300名を超える盛会となった。 と同時に、 市の都市政策や福祉政策に関する最新の統計資料等が入手できたことと、 現地で予定している調査実施等について理解と協力の承諾をいただいたことを大いに喜んでいるところである。 出発までには入手した統計資料等を読みこなして、 現地での調査をより有効に進めたい (それにしても2カ月という期間はあまりに短いのであるが) と考えている。
 研究内容に関わることがらはいずれ学内紀要等で報告させていただくことにして、 ここでは、 過去3度の訪問をとおして感じたデンマークの姿と、 それを創り出すうえで大きな力となったと思われる 「フォルケホイスコーレ (国民高等学校)」 についてご紹介させていただくことにする。
1. 「自立と共生」 を追求し続ける国
 デンマークに対する筆者の第一印象は、 そのゆったりとした生活のリズムであり、 大人であれ子供であれ、 障害者であれ高齢者であれ、 また施設職員であれ行政職員であれ、 会う人ごとにその自信をもった生き生きとした言動に感動させられることである。 そしてこの自信が、 高い福祉の水準という 「結果」 から来るものではなく、 自分たちで決めて創ってきたという 「過程 (プロセス)」 から来るものではないか……という印象をますます強くしている。 一言でいえば、 デンマークの社会を特徴づけるのは 「徹底した地方分権 (地域の自立)」 と 「徹底した当事者参加 (自己決定→個人の自立)」 という 「自立のシステム」 であり、 まさに地域に根ざして 「自立と共生」 を追及し続けている姿である。
 日本でいえば学区程度の地区単位にまで分権化された高齢者政策など、 それを実証するデータには事欠かないのであるが、 「地域の自立」 に対するデンマーク国民の思いを何よりも強く感じさせたのが 「風車」 の存在であり、 その多くが農民による協同組合方式によるものだと聞かされた時である。 平坦地で川も少ない国土で水力発電もままならず、 スウェーデンから電力を買わなければならない状況下にありながら、 一方では国民投票で 「原発」 を拒否し、 一方では協同組合で 「風車発電」 をするという姿勢に 「地域の自立と共生」 の真髄を見せられた思いがした。 もっとも、 最近では天然ガスの利用によって電力不足は解消されているようではあるが、 この姿勢は少資源・リサイクルなどの環境問題への取り組みとして強く受け継がれている。
2. デンマークの近代化過程
 筆者が初めてデンマークの地を訪れたのは、 「EU統合」 に対してデンマーク国民が 「ノー」 の判定を下した1992年6月のことであり、 その意味でも 「地域の自立」 に対する彼らの意志の強さには関心を持たざるを得ない時期であった。 このような強い 「自立」 志向が如何にして形成されてきたか、 それを論ずることは一介の工学者になせる業ではないが、 少なくとも、 前世紀半ばの領土の喪失とそれに引き続く未開拓農地の開発運動が農民の自治能力形成と発展の場となり、 農民階級や農民政党がデンマークの 「近代化」 を支えてきたという歴史がありそうである。
 すなわち、 1864年の第2次シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争によって、 デンマークはユトランド半島のドイツ側約 1/3 の領土を失うのであるが、 「外に失いしものを内に取り返さん」 という未開拓農地の開発運動が、 伝統的な古い共同体に代わる 「協同組合的農民 (Andelsbonde)」 の形成を促し、農民層の解体とプロレタリア化を押しとどめ、 農民層が市民社会を取り込み、 共同性をより高める形で社会と人間の解放を進め、 英仏以上の人権と社会保障を誇る 『北欧型近代化』 を成し遂げたと考えられている。 そして、 その精神的拠り所となったのが、 牧師であり作家であるグルントヴィ (N.F.S.Gruntvig) であり、 その運動を実質的に支えたのが 「フォルケホイスコーレ」 とその兄弟分ともいえる 「農民学校」 であったとされている。
  「フォルケホイスコーレ」 の創設は1844年であるが、 1830年代から形成され始めた地方自治や1848年の立憲君主制以降の民主主義を実質化するために、 農民の 「対抗教育」 機関として構想されたものであり、 いわゆる 「フリースクール」 とは明らかに性格を異にするものである。 そして、 グルントヴィの教育思想は 「民衆の社会的自覚」 あるいは 「共生の自覚」 と表現され、 その方法論は 「(死んだ文字に対する) 生きた言葉」 「相互作用と対話」 「歴史的−詩的方法」 「試験の廃止と生の啓発」 の4点に整理されている。
 それにしても、 このようにして国民の 「自立」 のシステムが確立し始めるのが明治維新の頃の話であることを振り返れば、 その後の日本が目指した 「西欧化」 と 「アメリカ化」 の陰で失ったもの、 あるいは未成熟のまま置き去りにしてきたものの大きさを思わずにはおられない。 そして、 わが国における最近の大学 「改革」 論議の原点もここらにありそうに思われるのである。
3. フォルケホイスコーレの現在
デンマークのフォルケホイスコーレは、 現在では、 17才以上なら性別、 年齢、 障害の有無、 国籍等を問わず誰でも入学できる生涯学習的教育機関として、 技術や知識の習得に目標があるのではなく、 教師と学生が寮で共同生活をし、 書物よりも対話を中心として生そのものを学び、 社会性を自覚すること、 自己発見をして自分の道を探し出すことに目標が置かれている。
 学生数は80〜100人程度で、 試験というものを絶対にせず、 単位や資格の付与もなく、 学期は2カ月から8カ月までいろいろあり、 好きなだけ更新もできる。 そして、 運営費 (教師の給与) の8割は国が負担しているとのことである。 こういうフォルケホイスコーレが全国に100校ある (国全体の人口が約500万人であるから、 日本でいえば大きな県に100校、 福井県でも10校以上ということになる)。 そして、 普通学校卒業後も 「自分の道」 を見つけ出せない若者から 「第2の人生」 を見つけだそうとする高齢者まで、 そして失業した者、 外国人なども含めて入学希望者は多く、 我々が訪れたリー・ホイスコーレでも 「来年春のコースまで満杯」 とのことであった。
 これほどまでに 「自立しよう (自分らしく生きよう)」 とする国民の意志と、 それを許し支援しようとするシステムが存在すること、 しかも時の流れを忘れるような穏やかな自然の中にそれが存在すること、 この 「豊かさ」 を前に、 我々一同 「息子や娘をここに来させよう」 と、 ため息まじりの感想を述べるのがやっとであった。
 なお、 デンマークに生まれたフォルケホイスコーレは、 その後、 スウェーデン (1868)、 ノルウェー (1875)、 フィンランド (1889) にも広がり、 現在では成人教育・社会教育のモデルとして世界に普及しているようであるが、 北欧を除く先進諸国では必ずしもその精神が理解されているわけではなく、 その精神が最も生きているのが発展途上国や東欧諸国だと言われている。
 最後に 「ご案内」 をさせていただくことにします。 オーフス郊外の小さな港町ホウにあるエグモント・ホイスコーレに、 本年8月から 「国際福祉コース (定員12名)」 が新たに開設されます。 17週の秋コース、 23週の春コース、 そして40週の年間コースの3種類が選択できるそうです。 手元に日本語の案内書・受講申請書がありますので、 興味ある学生諸君は是非お越しください (もちろん教職員の方でも構いません)。
(さくらい・やすひろ 図書館委員)



大型コレクションの蔵置に関わって


                                         長 谷 川 守 男

 1995年度の大型コレクション予算申請で認可された図書資料が現在本学図書館に蔵置され、 必要な設備も整えられ、 閲覧可能になっている。 資料自体もかなり高額で、 しかも、 マイクロフィッシュ、 マイクロフィルムで、 そのための設備にも予算を組んで頂き、 申請代表者として、 ここで図書館の皆様にお礼を申し上げておきたい。
 このコレクションは、 『ドイツ官報及び議会速記録集成』 で内訳は以下の通りである。

@ヴァイマール共和国国会速記録 (1919-1933) (Stenographische Berichte des Reichstags der Weimarer Republik 1919-1933)
Aドイツ帝国官報及びプロイセン官報 (1819-1945) (Deutscher Reichsanzeiger und koeniglich preussischer Staats-anzeiger 1819-1945)
B (旧) 東独人民議会速記議事録 (1949-1986) (Volkskammer der DDR 1949-1986)
内容はそれらの名称から大方想像して頂けると思われるので、 ここでは、 予算申請に関わって@の資料に纏わる個人的な 「苦い経験」 について述べたい。
 旧西ドイツの教育思想と教員養成制度について調べていて、 書籍だけからでは理解しがたいことを痛感し、 必要な資料蒐集と現状を直に観察する目的でハイデルベルク大学の 「教育科学ゼミナール」 に留学したのは13年前であった(1984-85)。 この大学を選んだのは、 知人である教授がいたこと、 そして、 この大学の管轄州であるバーデン・ヴュルテンベルク州が、 すでに60年代中頃から相次いで他の殆どの州が義務教育学校の教員養成に携わってきた、 独立した 「教育大学」 をいわゆる 「総合大学」 に吸収合併していく流れの中で、 「教育大学」 を頑固に維持していた州の一つであり、 しかもハイデルベルク大学からすぐ近くに 「ハイデルベルク教育大学」 が存在していたからであった。 この州と対照的な政策をとっていたのはハンブルク市 (州と同等の権限を持つ) で、 そこのハンブルク大学であった。 この大学は、 すでにヴァイマール共和国時代から、 すべての教員を総合大学で養成していた。 教員養成の様相を思想と関わって比較する意図もあり、 当時この大学にも何回か足を運んで資料を蒐集したが、 時間の制限もあり、 再度渡独することになるのは、 7年後である。
 さて、 当初の目的を達成すべく、 ハイデルベルク大学での講義・演習に参加する傍ら、 ハイデルベルク教育大学に通い、 そこのスタッフと親しくなり、 講義や教育実習を見学させて貰ったり、 あるいは暇を見つけては、 他大学の研究者や各州の文部省 (各州にある) を訪ねて、 意見交換・資料蒐集にあたるなどして過ごす中、 ある日、 書店で偶然に新刊本に出会った。 それは、 Rita Weber の 「Die Neuordnung der preussischen Volks-schullehrerbildung in der Weimarer Republik」 であった。 今も鮮明に記憶に残っているが、 この本を購入し、 目次に目を通した時、 唖然としてしまった。 留学する前に構想していた内容が、 そこに展開されていたのである。 一晩かけて読了した後、 何日間は何も手につかなかった。 ドイツの教員養成に関わる日本の資料にみられる通説も理論的に否定されていた。 これが 「苦い経験」 の最初であった。 しばらくして、 再度読み直して、 穴場がないかを探ってみた。 第二次大戦以後の流れは、 留学前にかなり押さえていたし、 Weber は扱っていないのでよかったが、 問題はヴァイマール期成立前後であった。
 ヴァイマール憲法のいわゆる教育条項、 その中でも第4章第43条の 「教員養成については、 高等教育について一般に適用させられる原則にしたがい、 全国を通じ統一的にこれを規定する。」 の文章、 第146条での学校制度構成に関わる項、 第149条の宗教教育に関わる項について、 日本の研究者の業績もかなりあった。 また、 憲法の教育条項を具体化するために、 1920年に召集された 「ライヒ学校会議」 についても、 その詳細な記録 『Die Reichsschulkonferenz 1920』 から、 ヴァイマール憲法の条項の解釈が各自各様であったことはすでに理解していた。 そうすると、 教育条項がどのように成立したかが問題になるが、 日本の研究者の業績においても国会での論議について二次的資料を用いたのが多かった。 Weber も国会審議を直接的な対象にしていなかったので、 そこに目をつけ、 Weberの本の巻末に掲載されている文献をチェックしてみた。 それを参考にして手にいれた文献の一つが、 Uwe Sandfuchs の 『Univer-sitaere Lehrerausbildung in der Weimarer Republik und im Dritten Reich』 であった。 これを読んだのが、 二回目の 「苦い経験」 であった。 それは、 ヴァイマール期のある期間、 Braunschweig 工科大学で展開された教員養成を扱っていた。 そこには、 憲法での教育条項の成立に関連した論議が、 原資料に (従って、 @の文献のことであるが) 基づいて押さえられていた。 そこで断片的に引用されている 「議事録」 をやはり自分で実際に読んで把握しなければ気がすまなくなった。 Sandfuchs のその業績の作成に補助的に助言をしていた Braunschweig 大学の、 シュプランガーの弟子 Walter Eisermann にも大学に訪ねて行き、 意見を聞いたが、 面会時間も少なく、 思うような収穫はなかった。 だが、 彼からは、 シュプランガー全集にも掲載されていない、 ヴァイマール期初期での教員養成をめぐる彼の舞台裏での動きを記した遺稿をコピーして貰えたのは思わぬ収穫であった。
 帰国の日程も迫ってきた。 また、 Weber に実際に会って助言を得ようと思い、 それまで何回か意見交換したことのあるフランクフルト国際教育研究所の研究員で京都大学に留学経験のある Both von Kopp さんに住所を教えて貰い、 ベルリンの住所に手紙でコンタクトをとろうとしたが、 結果的には成功せず、 多少あせり気味であった。 それからは、 帰国寸前まで、 日本では手に入れにくい、 あるいは取得不可能と思われる文献を探しだし、 手に入れ次第コピーし、 日本に発送するのに明け暮れた。
 帰国してから、 本学図書館を通じて、 @の中の教員養成条項に関する部分のみ、 日本のある大学からコピーを取得できたが、 いちいちコピーするのも面倒な思いがし、 大型コレクションでの取得を思いついたが、 よもや二回目の申請で認められるとは予想だにしなかったことである。 はがゆいことには、 学内のいろいろな所用等で、 コピーして取得したかなりの数の文献の半分もまだ目を通すことができない有様である。
(はせがわ・もりお 教育学部教授)



漢籍整理長期研修を受講して


                                         田 中 美 智 子

 東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センターにおいて実施されたこの研修は 「研究・実地両面にわたり個別指導を行い、 漢籍整理の取り扱いに関する技術を習得させ、 学術資料としての漢籍の有効な利用をはかる」 としています。
 本学図書館の漢籍は目録・分類・整備はなされ一部は別置されてはいるが、 これを扱う職員が十年以上不在であったため、 貴重な資料も、 洋装本と混排されているものも多く実数を把握していないのが現状です。
 資料整理の上で四部分類になれている研究者にとっては、 日本目録規則・日本十進分類法での整理では、 親しみにくく不便をきたしています。
 今回この研修で本格的に漢籍整理を学ぶのが初めての経験であり、 少しでも漢籍の世界をのぞけることは、 楽しみであり不安も多いものでした。
 講義は漢籍目録学概説、 主に明治時代以降の漢籍の整理研究で京都大学と東京大学の文献学・目録学の歴史からはじまりました。 四部分類、 四角号碼検字法、 和刻本、 朝鮮本、 漢字の字形の変遷、 漢籍修理法、 中国書目録デ−タベ−ス、 新学書、 漢籍目録整理法での実習、 内閣文庫、 東洋文庫、 また東京大学附属図書館、 文学部図書室等の漢籍の整理の様子等が研修内容でした。 講義のなかで“目録学は目録を作成するときに必要な事柄を研究する学問である。”“目録は引くためにだけあるものではない。 読むためのものでもある。”この言葉が研修中はもとより現在の仕事の励みにもなっています。
 目録は書に関する部分と、 本に関する部分からなり、 書とは書名・撰者名・巻数等、 本とは出版事項・冊数で例えば書は史記・文選、 本は宋本とか刊本で、 これらをデ−タとして残すまでの様々な過程が研究、 経験、 自己研鑽以外なにもないように思われます。
 四角号碼は、 漢字の筆画の形状を十種に分かち、 それぞれ番号を付け、 漢字の四角(ヨスミ)の筆型を、 左上の角(スミ)、 右上の角、 左下の角、 右下の角の順序に従って番号化し、 四桁の数字で表す漢字の検索法の一つです。 これは総画数・部首がわからなくても良く便利なものです。
 史料の補修に関しては、“利用してこそ史料”と、 糊の作り方から、 糊には用途・季節・天気・地方の湿度にも差があり、 紙質によっても糊の濃度が異なる。 また、 糊加減によって補修の良否が決定する等々糊の使用法の講義、 虫損直し、 裏打ちの仕方を実際にやっていただき、 実技指導では、 コヨリの縒りかた・綴方・結び方・唐本の綴方を教えていただきました。 コヨリは、 ひと昔までは、 事務官の必須項目であったものを今は紙も縒る人もいなく、 また、 紙は、 補修でも必要であるにもかかかわらず、 入手しにくい物になってきています。 補修には種々の経験と技術・根気を要するものであり、 ここでも、 いまあるものを大切に、 良い状態で残し後世の人から何故残さなかったのか言われないようにしておくべき使命があるように思われます。
 研究者にとっては、 現物が必要であり研究対象物でもあるのです。 同じ内容の書物でも初印か後印か、 同版か異版か、 紙質、 印刷の状態、 綴方、 形態、 蔵書印等による入手経路等々すべてが対象です。 今後なかなか手に入らないものであり、 実際存在するものであり一種の文化遺産であると思います。
 研修中の先生方の書物の扱い、 調査に関してはどんな時間労力もいとわない丁寧な指導、 本当に書物を愛し、 今だからやっておかなければならないこととし研究に没頭されている様子を真近で経験できたことは、 幸せでした。
 電子図書館は今注目され、 資料の電子化が脚光をあびています。 電子化するにも資料を整理整備しておく基盤整備が必要であり、 新しい図書館の下準備をしてこそ電子図書館としての出発があるように思います。
 今後の課題として、 この研修の目的であった学術資料としての漢籍の有効利用をはかるためにも漢籍 (和漢籍) を集大成した整理・目録を作成する必要があります。
 電子化と今ある資料の整理・保存は車の両輪であるように思われます。 電子化の時代だからこそ利用者に利用されやすい環境をつくる必要があるのではないでしょうか。
漢籍目録整理法演習 (自館自習)
(目録カ−ド)
集部    古文苑二十一巻
第三總集類  囗闕名輯
二各代之屬    萬暦中刊本
  *萬暦 (西暦1573年〜1619年)
(目録デ−タシ−ト)
 刊本
 唐本
(1) 表紙・題簽・装訂等
   綫装 1帙 8冊 29.2×18.3糎
        (夾板)
 題簽題 (帙)
   古文苑         ……写
 題簽題 (書)
   なし (1册目) …表紙がない
      2册目 古文苑 孝……印
      3册目 古文苑 忠……印
      4册目 古文苑 信……印
      5册目 古文苑 禮……印
      6册目 古文苑 義……印
      7册目 古文苑 廉……印
      8册目 古文苑 恥……印
     (各册共表紙・裏表紙破損著しい)
(2) 封面・副葉子等
 題署
   なし
 刊記
   なし
(3) 序・目・凡例等  総目 凡例 刊記
 序首題
   古文苑序/萬暦壬辰孟冬長洲祝繁書
            (版心) 古文苑序
 六丁目
   古文苑叙/張琳書 
            (版心) 古文苑序
 十一丁目
   古文苑序/萬暦癸巳二月玄洲張士驥書
            (版心) 古文苑叙
 十三丁目
    淳祐丁未月………盛如■ 
            (版心) 古文苑叙
 目首題
   古文苑總目  第一巻〜第二十一巻 
            (版心) 總目
 目録
   古文苑巻一目録
    姑蘇後學張象賢齊之甫校刻
(4) 本文巻首題署
   古文苑巻之一
(5) 版式
   左右双辺有界8行 (注文双行)
   白口単魚尾. 版心題 古文苑
   内匡郭 19.9×12.5cm
   白文
   版心注記事項 書名 魚尾上 巻
    古文苑  【 巻一    一
(6) 巻尾題
   古文苑巻第二十一
(7) 巻尾跋・附録等
   なし
(8) 刊記・奥付等
   なし
 以上が目録をとる上でのデ−タです。 本来、 資料に忠実でなければならないのですが漢字等ワ−プロに無いものは代用したものもあります。
(たなか・みちこ 整理係長)



CD-ROM データベース案内


 本学附属図書館では、 平成7年度末に導入された CD-ROM データベースサーバを利用して、 研究室などから24時間、 かつ無料で下記のデータベース検索が可能となりました。 すべてがより早く、 より簡単に検索可能です。 必要なものはすべて表示、 印刷することが可能です。 検索端末はネットワーク (学内 LAN) に対応している Windows 対応 PC または Macintosh です。
▼提供データベース名
@ CA on CD
 特徴:Chemical Abstracts (CA) の週間号 (Weekly Issues) 及び巻末索引 (Volume Indexes) に収録されているすべての情報が検索・表示可能。
同時利用ユーザ数    4名まで
 データ収録期間:1997. 1 〜 現在
 データ更新:毎月1回
A ERIC
 特徴:教育関係の文献データベースで、 記事タイトルの単語、 言葉、 見出し等から検索可能。
同時利用ユーザ数    4名まで
 データ収録期間:1966 〜 現在
 データ更新:年4回
 このほかに、 次の CD-ROM がネットワークに対応していませんが、 来館されれば、 1階の情報検索コーナーの検索端末4台が利用可能です。
B科学技術文献速報
 特徴:日本科学技術情報センター (JICST) が発行する 「科学技術文献速報」 全12編を CD-ROM 化したものです。
 データベースの構成:
  *化学工業編 (外国編)  *化学工業編 (国内編)    *機械工学編
  *電気工学編      *金属鉱山工学、 地球科学編 *土木建築工学編
  *物理応用物理編    *原子力工学編       *ライフサイエンス編
 データ収録期間:1995年版、 1996年版
 データ更新:1年に1回。 最新のデータを求める場合は冊子体をご利用下さい。
 
C Current Contents on Diskette with Abstracts. Life Science 編
 特徴:ISI 社が発行する主に 「外国雑誌の目次だけを集めた雑誌 Current Contents. Life Science 編」 のDiskette 版です。 冊子体と大きく異なるのは著者抄録が付いていることです。
 データ収録期間:1996. 7 〜 現在   
データ更新:毎週
D雑誌記事索引
 特徴:人文・社会、 科学技術のすべての分野の記事索引集です。 従来、 国立国会図書館が作成していた冊子体 「雑誌記事索引」 データベースを CD-ROM 化したものです。
 データ収録期間:1985. 1 〜 現在
 データ更新:年4回
 このほかにも次の CD-ROM が利用できます。
■学術情報センター目録所在情報サービス 福井大学 (個別) 版 CD-ROM
■理科年表 1997年版
■世界大百科事典
■岩波電子日本総合年表
■模範六法 1996年版
■現代用語の基礎知識 1996年版
■朝日新聞記事データベース CD-HIASK '85〜95
■戦後50年 朝日新聞見出しデータベース 1945 〜 1995年版
その他:
 これらの CD-ROM の利用方法等の詳細につきましては、 お気軽に附属図書館参考係 (内線 2277) または電子メール (library@karin00.flib.u-fukui.ac.jp) にてお問い合わせ下さい。



全国共同利用外国図書(大型コレクション)及び自然科学系特別図書の案内


 下記大学から、 全国共同利用外国図書 (大型コレクション) 及び自然科学系特別図書の利用案内がありましたので、 お知らせします。
 なお、 資料の利用等につきましては、 参考係 (内線2277) までお問い合わせください。
(平成8年3月〜平成9年2月受付分)
<大学名>      <資      料      名>
香川大学        Le Monde. Years 1944-1994 (Microfilm Edition)
埼玉大学        AMS Alloy Phase Diagram Series 全21巻
            (AMS 合金相図シリーズ)
北見工業大学      Comprehensive organometallic chemistry II 全14巻
            (有機金属化学全書 II)
滋賀大学        16-20世紀ゲリッツェン女性史研究文献集成
            The Gerritsen Collection of Women's History, 1543-1945

            4,736 titles on 17,556 microfiches and 244 reels of 35mm
            microfilm
豊橋技術科学大学    Handbook of ternary alloy phase diagrams 全10巻
            (三元合金状態図集)
三重大学        グメリンハンドブック
            GMELIN Handbook of Inorganic and Organometallic Chemistry
            System No. 1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 13, 14, 15, 20, 22, 27, 28, 32, 35, 41, 48, 52,
            56, 57, 58, 60
群馬大学        災害・災異コレクション (明治期以降)  1組 (901点)
九州芸術工科大学    SDP [気象官署の地上気象観測データ]  一式
            1963年〜1995年分
            気象官署80地点 [理科年表 (丸善刊) に記載の気象観測地点]
山梨大学        Powder diffraction file (ICCD X線粉末回折データブック)
奈良教育大学      The Works of Geoffrey Chaucer, Edited by F. S. Ellis.
            Printed by William Morris. (Kelmscott press) 1896
神戸商船大学      交通関係基本学術雑誌バックナンバーマイクロ版集成
            Traffic Quarterly. Vol. 1-35 (1947-81)
            Transportation Quarterly. Vol. 36-48 (1982-94)
            Transportation Journal. Vol. 12-34 (1972-95)
            Traffic Engineering. Vol. 1-47 (1933-77)
            Transportation Engineering. Vol. 47-48 (1977-78)
            ITE Journal. Vol. 48-64 (1978-94)
            High Speed Ground Transportation Journal. Vol. 1-12 (1967-78)
            Journal of Advanced Transportation. Vol. 13-28 (1979-94)
            Traffic World. Vol. 1-240 (1907-94)
            Transportation Research. Part. A: General. Vol. 21-25 (1987-91)
            Transportation Research. Part. A: Policy and Practice. Vol. 26-28
            (1992-94)
            Florida Journal of Commerce. Vol. 14-15 (1972-73)
            Florida Journal of Commerce, American Shipper. Vol. 17-18
            (1975-76)
            American Shipper. Vol. 18-32 (1976-90)
            American Shipper International. Vol. 32-33 (1990-91)
            American Shipper. Vol. 33-36 (1991-94)
高知大学        CA 12th collective Index on CD-ROM
            CA 12th collective abstracts on CD-ROM
兵庫教育大学      15-20世紀西欧教育史貴重資料大集成 (マイクロフィッシュ版)
            History of Education: 15th-20th Century Microfiche ed.
            全26ユニット 12,427タイトル 32,508フィッシュ
愛知教育大学      化学辞典シリーズ 全39冊
秋田大学        18世紀シェイクスピアコレクション 全82冊
            Dictionary of Inorganic Compounds. (無機化合物大事典)
            Main Work, 1st Supplement, 2nd Supplement 全7冊
茨城大学        Beilsteins Handbuch der Organischen Chemie
            (バイルシュタイン有機化学ハンドブック 第2増補版)
信州大学        The United States Strategic Bombing Survey (Pacific) 1 set
            (50vols)
            (太平洋戦争白書 全50巻)
            Landolt-Bornstein: Numerical Data and Functional Relationshipsin Science and Technology.
            New Series. Group 2, 4
            (ランドルトーベルンシュタイン物理数値データ集 グループ 2, 4)
鳥取大学        Landolt-Bornstein Numerical Data and Functional Relationships in Science and Technology.
            New Series. Group III
            (ランドルトーベルンシュタイン科学・技術数値データ集 新版 
            第3集)
島根大学        Beilsteins Handbuch der Organischen Chemie 3. Erganzungswerk
            (バイルシュタイン有機化学ハンドブック 第3増補版)
            Bd. 5-6, 8, 10-16
新潟大学        機能性物質事典
            1) Dictionary of Organic Compounds 6/e 9vols (有機化合物辞典)
            2) Dictionary of Natural Products 9vols (天然物辞典)
            3) Dictionary of Terpenoids 3vols (テルペノイド辞典)
            4) Dictionary of Steroids 3vols (ステロイド辞典)
            5) Dictionary of Antibiotics and Related Substances 3vols (抗生物質及び関連化合物辞典)
            6) Comprehensive Organic Functional Group Transformations 7vols
            (有機官能基変換辞典)
            7) Comprehensive Organic Chemistry 6vols (有機化学辞典)
            8) Comprehensive Organometallic Chemistry II 14vols
            (有機金属化学辞典)
            9) Comprehensive Polymer Science 8vols (高分子科学辞典)
            10) Encyclopedia of Polymer Science and Engineering 19vols
            (高分子工業科学百科辞典)
横浜国立大学      Landolt-Bornstein, Numerical Data and Functional Relationshipsin Science and Technology.

            New Series. Group I-VII (114 vols)
宇都宮大学       米国学位論文 「情報科学関係学位論文コレクション」
            (マイクロフィッシュ版) 1992-1995年 631点
宮崎大学        Landolt-Bornstein Numerical Data and Functional Relationships in Science and Technology,
            New Series.
            Group II (45 items), IV (15 items)
            Substance Index 1993 Subvolume a
            Substance Index 1993 Subvolume b
            Substance Index 1993 Subvolume c
            (3 items)
熊本大学        Ethnic Minorities, Immigrants and Emigrants: Global Phenomenonand
            Problem
            (少数民族と移出入民:地球規模の現象と課題)
奈良女子大学      マイクロ版近代文学館4. 新小説1セット
            (新小説総目次執筆者索引を含む)
            Beilsteins Handbook of Organic Chemistry
            (バイルシュタイン有機化合物ハンドブック)
            Series III Vol. 1-16
            Series III/IV Vol. 17-27
福島大学        NATO ASI Series, series F:Computer and System Sciences.
            102 vols
            (北大西洋条約機構科学事務局最新研究機関シリーズ F: コンピュータとシステム科学に関する研究双書
            102 vols)
北海道教育大学     静嘉堂文庫所蔵国語学資料集成目録・静嘉堂文庫所蔵古辭書集成目録(マイクロフィルム版)  1部
琉球大学        在米・日系移民新聞コレクション (マイクロフィルム)
            内訳:Shin sekai nikkan = Japanese daily new world
               ED: Microfilm ed1906-1932         
               Shin sekai nichinichi = The New world daily news
               ED: Microfilm ed 1932-1935         
               The Hokubei asahi
               ED: Microfilm ed1931-1935         
               Shin sekai asahi = The New world-sun daily
               ED: Microfilm ed1935-1941         
               Nichibei = The Japanese American news
               ED: Microfilm ed1912-1932         
               The Pacific citizen
               ED: Microfilm ed1929-1989         
               Hokubei Mainichi = North American daily
               ED: Microfilm ed1962-1989         
               Landolt-Bornstein Zahlenwerte und Funktionen aus
               Naturwissenschaften und Technik, neue Serie /
               Gesamtherausgabe, K. -H. Hellwege; Gruppe 3.
               Kristall- und Festkorperphysik
岩手大学        Ultra Violet Spectra. Vol. 1-15
神戸大学        SPIE−the International Society for Optical
            Engineering-Proceedings
            (国際光工学協会研究論文集成)
宮城教育大学      Pestalozzi's Samtliche Werke 81点 101冊
            (ペスタロッチ著作・研究書)
福岡教育大学      Physical education, sports science, sports medicine
            and physical fitness
            (スポーツ教育情報の総合的研究)



第8回吉村基金による図書購入リスト


タ   イ   ト   ル             出 版 社

CD-ROM 世界大百科事典 Windows 版          平凡社

CD-ROM 岩波電子日本総合年表 EPWING版        岩波書店

CD-ROM 模範六法 1996                三省堂

CD-ROM 現代用語の基礎知識 95-96年版 EPWING 版    自由国民社

吉村基金:昭和60年入学直後に亡くなられた吉村直樹さんのご遺族からの芳志金により設立されたものです。



福井大学附属図書館将来構想第1次報告書 −本の保管倉庫から知識のマネージメント・センターへ−」が


1996 (平成8) 年9月に発行されました。 この冊子は本学図書館の将来と展望を記したものです。
 ここでは目次だけを紹介しますので、 興味のある方は、 本学図書館のホームページ 「Welcome to Fukui University Library Home Page」 (http://karin30.flib.u-fukui.ac.jp/shoraikoso.html) をご覧ください。
目次
1   大学図書館を取り巻く環境
2   これからの図書館の役割
3   管理・運営
3−1 組織
3−2 図書館員の資質
3−3 情報化時代に対応した現職者教育
3−4 財政
4   電子図書館的機能の強化・高度化
4−1 情報提供環境の強化・高度化
4−2 図書館システムの現状
4−3 インターネット、 学内LAN活用のための環境整備
4−4 電子機器利用のための環境整備
4−5 電子的情報資料の提供機能
4−6 外部データベースなどの中継機能
4−7 電子メール、 電子掲示板機能
5   利用者サービスの強化・高度化
5−1 閲覧サービス
5−2 学術情報提供サービス
5−3 相互協力サービス
5−4 利用者教育
5−5 広報活動
5−6 図書館の公開
6   図書館資料の充実
6−1 資料の収集と廃棄
6−2 資料の組織化
6−3 雑誌の製本
6−4 大学図書館の資料
6−5 資料の保存
7   施設・設備の充実
7−1 図書館の現状
7−2 図書館の整備
7−3 情報提供機関としての整備
7−4 インテリジェント・ビルヘの対応
7−5 多目的ホールの併設
7−6 家具及び内装
7−7 防災計画
7−8 増築計画への対応
7−9 情報処理センターとの併設
7−10 新築されるまでの既存図書館の活用
8   本学図書館が当面する諸問題
9   用語解説



図書館この一年


<館 外>
4.25〜26      第47回北信越地区国立大学図書館協議会
          (於:信州大学 山本館長、 小木事務長出席)
5.27〜28      平成8年度国立大学事務部課長会議
           (於:東京医科歯科大学 小木事務長出席)
6.19        平成8年度福井県図書館協会理事会・総会
           (於:福井県立図書館 山本館長、 小木事務長、 田中整理係長、 木村運用係長出席)
6.27        平成8年度福井地区大学図書館協議会定例会議
           (於:本学)
7.1〜7.12     平成8年度漢籍整理長期研修
           (於:東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター 田中整理係長出席)
7.3〜4       国立大学図書館協議会第43回総会
           (於:神奈川県民ホール 山本館長、 小木事務長出席)
7.17        福井地区大学図書館協議会夏季研修会
           (於:福井県立博物館)
7.18〜19      第15回 (平成8年度) 北陸地区国立学校等監督者研修
           (於:鯖江青年の家 小木事務長出席)
8. 6        北陸地区国立大学附属図書館会計担当者会議
           (於:富山医科薬科大学 永田学術情報係長、 佐々木学術情報係員出席)
8.8〜9       平成8年度東海北陸地区著作権セミナー
           (於:福井県民会館 田中整理係長、 木村運用係長、 永田学術情報係長出席)
10.14〜23      平成8年度漢籍整理長期研修
           (於:東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター 田中整理係長出席)
10.14〜18      平成8年度(第33回)東海・北陸地区国立学校等会計事務研修会
           (於:東海北陸地区国立大学共同中津川研修センター 佐々木管理係員出席)
10.14〜18      東海北陸地区国立大学事務電算化担当職員研修会
           (於:名古屋大学 竹内学術情報係員出席)
10.16〜18      第8回 (平成8年度) 福井県地区国立学校等中堅職員研修
           (於:福井工業高等専門学校他 木下整理係員出席)
10.29〜30      平成8年度 NACSIS-IR 地域講習会
           (於:金沢大学 柳下参考係員出席)
11. 7〜8      平成8年度北信越地区国立大学附属図書館事務 (部・課) 長会議
           (於:新潟大学 小木事務長出席)
11.12〜15      平成8年度東海・北陸地区国立学校等係長研修
           (於:サンパーク犬山 田中整理係長出席)
11.27〜28      平成8年度国立大学図書館協議会シンポジウム
           (於:名古屋大学 西野参考係長出席)
11.28〜29      平成8年度北信越地区国立大学図書館研修会
           (於:富山医科薬科大学 木下整理係員出席)
12.12        学術情報センターシンポジウム
           (於:大阪府立中央図書館 木村管理・運用係長出席)
2.28        新目録所在情報サービス説明会
           (於:富山大学附属図書館 田中整理係長出席)
3. 4        電子図書館サービス説明会
           (於:大阪大学銀杏会館 木下整理係員出席)
<附属図書館委員会>
8.5.9       @平成7年度図書購入費の執行状況について
          A福井大学自己点検・評価報告書 (第4号) の原稿について
          B平成8年度図書資料 (大型コレクション) 収書計画調書について
          その他
          福井大学附属図書館将来構想第一次報告書 (案) について
          図書館のホームページについて
8.7.11      @国立大学図書館協議会第43回総会報告
          A平成8年度図書購入費予算配分(案)について
          B平成8年度特別図書購入経費について
          その他
          電子的資料の収集について
          製本方針について
8.11. 6 (持ち回り)
          @福井大学附属図書館将来構想第一次報告書 (案) について
          A福井大学附属図書館文献複写規程の改正について
9. 2.21 (持ち回り)
          @福井大学附属図書館文献複写規程の改正について
9.3.25      @図書館規程等の改正について
          A「福井大学現状と課題」 Vol. 5 の原稿について
          Bオンライン目録充実について
<附属図書館将来構想検討委員会>
8.6.27      最終まとめ 「福井大学附属図書館将来構想」
<館 内>
4.11       平成8年度新入生に対する図書館利用オリエンテーション
6.17〜7.9    小中学校教科書展示
12.25       講演会 休日開館の効果について」
          講師 名古屋大学附属図書館
          情報サービス課長 吉田 秀紀
1. 21       講演会
          「一般市民への図書館資料の貸出しについて」
          講師 愛知教育大学附属図書館
          専門員 神谷 和幸



人 事 異 動



<人事異動>
氏   名    異動前      異動後         発令月日
熊野 とも子   運用係      退職           8.3.30
小木 信正    教育学部事務長  事務長          8.4.1
永田 育男    工学部用度係長  学術情報係長        〃
寺尾 達雄    事務長      工学部事務長        〃
塩崎 睦子    参考係長     教育学部附属学校第二係長  〃
西野 正敏    学術情報係長   参考係長          〃
山川 容子             運用係          8.4.11
品川 仁美    参考係      退職           8.5.31
山口 生美             参考係          8.6.3
工藤 典子    運用係      退職           8.7.16
三好 敦子    育児休業     運用係          8.7.17
佐々木 和美   福井工業高等専門
         学校学生課図書係 学術情報係        8.10.1
佐藤 政喜    管理係長     教育学部附属学校第一係長  〃
木村 幹明    運用係長     管理係長併任        〃
佐々木 忠文   学術情報係    管理係           〃
山口 浩実    管理係      退職           8.11.19
米沢 由紀    育児休業     管理係          8.11.20