福井大学附属図書館報「かりん」   No.30


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読書の愉しみ  −−プーシキンに遊ぶ−−


                                   大 畑 勝

 「本のない宮殿に暮らすより、本に溢れたあばら屋に住みたい」と言ったのは、確かケ
ーベル博士だったように記憶する。読書には色々あり、暇つぶしの読書もあれば、受験勉
強だってある。私の読書の大部分は「仕事としての読書」である。歴史学関係の書物・論
文・資料などを、教育と研究の必要に迫られて読む。好きで選んだ道であっても、仕事と
なれば苦痛を伴うのが常である。
  気分転換に私は「愉しみとしての読書」に耽る。文学を読むことが多い。それは仕事で
はないので、義務感や責任感に圧迫されることもなく、解放感があり大変楽しいのである。
  最近ロシアの詩人プーシキンの歴史文学を読んだ。ノンフィクションの世界の魅力があ
ふれている。プーシキンは近代ロシア語とロシア文学の建設者で、韻文小説『エウゲーニ
イ・オネーギン』で知られ、ベルジャエフは「プーシキンなかりせば、ドストエフスキー
もトルストイも存在しなかったであろう」とさえ言っている。私はプーシキンのもう一つ
の顔である歴史家プーシキンに注目したい。
  プーシキンが歴史に愛着を覚えたのは、彼が貴族出身ということと関係がある。六百年
も続いた名門貴族の出身であることを誇りとしていた。十九世紀頃はプーシキン家は没落
しており、経済的には豊かでなかったが、自家の蔵書中にはフランス文学やロシア文学の
書物が多く、とりわけカラムジンの『ロシア史』が歴史への憧れをかきたてたのである。
  1825年のデカブリスト事件がプーシキンの歴史学への覚醒にとり、決定的であった。当
時彼はロシア政府から危険思想の持主と疑われて、ミハイロフスコエ村に追放され、謹慎
を命じられていたのであった。もしそのような事情がなければ、プーシキン自身も首都で
デカブリスト反乱に参加していたかもしれない。反乱首謀者の中にはプーシキンの友人も
多かった。デカブリストの敗北後、ミハイロフスコエでデカブリスト処刑の報を聞いたプ
ーシキンの胸中はいかばかりであったろう。
  当時プーシキンはシェイクスピア史劇の影響を多分に受け、彼の歴史文学の第一作『ボ
リス・ゴドゥノフ』を完成した。プーシキンはデカブリスト反乱を中心内容として、先述
の『オネーギン』第十章を書こうとした。彼はデカブリストの生残りの人達から史料を収
集し、執筆を始めた。しかし1830年10月19日、彼は意を決してこの原稿を焼却してしまう
のである。その内容がロシア政府にとり「由々しい犯罪」を構成するものと考えられたか
らである。ツァーリズムの下では表現の自由、思想の自由は夢物語であったことは言うま
でもない。
  しかしこのようにして触発された歴史への想いは着実に彼の中で結実していった。1831
年11月にはピョートル大帝の歴史を書くために、古文書保管所を利用させてもらうために、
再度外務省に勤務した程である。1832年にはデカブリスト反乱についての象徴的な描写を
含む『青銅の騎士』を完成した。
  歴史家顔負けの実証的研究と史料調査のためにカザン、オレンブルグに赴いたのは1833
年8月である。プガチョフ指導下の農民戦争史『プガチョフ反乱史』を書くためである。
  これら歴史研究の到達点が名作『大尉の娘』である。その内容の詳細については紹介を
差し控えたいが、歴史小説と家庭小説の巧みな融合を見る思いである。
  私はこの作品の中に、貴族出身であるにもかかわらず、ロシアの専制政治に勇敢に立ち
向かったロマンティスト=プーシキンの民衆にたいする限りない愛情を感ずる。最後には
処刑される反乱首謀者プガチョフを眺めるプーシキンの眼差しは実に温かいのである。
                        (おおはた・まさる 附属図書館長)





”雑感”−−学園紛争−−


                                 小 木 信 正

 図書館での仕事を最後に公務員生活から卒業します。卒業にあたり『かりん』編集者か
ら原稿依頼がありました。テーマは自由とのことでしたので....。
 大学生活で今でも強く印象に残っているのは学園紛争です。
 学園紛争以前の大学観は、大学の使命は、教育と研究であり、この使命に直接的に関わ
る教官の意志決定を組織の基本とすべきと考えられてきた。事務組織は単なる事務処理を
する者とし、学生は教官に教えてもらう学問的に未熟な者と見なされてきた。
 昭和30年代後半からの高度経済成長による大学進学率の上昇に伴い、大学教育の大衆
化が進行し、大学観と現実の間にギャップが生じて、それが学生側の大学への不信・不満
となり、学費値上げ、寮費値上げ等の学内問題を中心に学園紛争は全国の各大学に広がっ
ていった。特に昭和44年1月18日〜19日の機動隊による東大安田講堂封鎖解除は、
テレビで放映されたため、今でもその時の状況が思い出される。
 福井大学は、昭和42年に一部の過激派サークルの学生によって、繊維工学科の老朽建
物を部室とし、これを皮切りとして、部室獲得の要求運動が始まった。昭和43年10月
後半には、五者協(教育学部自治会、工学部学友会、文化系サークル連盟、体育系サーク
ル連盟、部室獲得実行委員会)から部室の確保と自主管理、学生心得の撤廃、学生会館使
用の自由化、課外教育費配分計画の公開、父兄後援会経理の公開を要求項目として、大学
側に全学説明会(大衆団交)の要請文が提出されたが、大学側はこれを拒否した。
 このような学内状況にあって大学側としては施設整備計画の一環として、建築学科2号
棟を取りこわす計画を立て、すでに業者に建物の売買契約を締結していたこともあり、強
行して取りこわしを開始した。このため五者協は作業中止を要求し、部室獲得闘争のため
同建物を占拠しすわりこみを行った。この件が本学の学園紛争を拡大する好個の材料とな
ってしまった。
 昭和44年に入って全国の各大学が紛争状態であり、政府は「大学運営に関する臨時措
置法案」を国会に提出した。このため、学園紛争は拡大した。本学でも7月に2回の大衆
団交が行われたが、議論は平行線で、遂に大学の管理者(学長、両学部長、評議員)が辞
任を表明したために、7月14日事務局棟がバリケードで全面封鎖という状態になってし
まった。以後、昭和52年末まで紛争状態が続いた。他大学の紛争は「臨時措置法」が8
月17日から施行され、紛争校の指定を受けないために機動隊導入によって紛争を解決し
ていったが、本学のように約10年間も紛争が続いた大学は少ないのでは....。
 「大学自治」を主張する大学側として、最も慎重であるべき機動隊導入について悲しい
ことであるが、遂にその力に頼らなければならない時がきてしまった。それは、昭和47
年度の入学試験の日(昭和47年3月23日)のことであった。当日の早朝から正門がバ
リケードで封鎖され、入学試験の実施が危ぶまれる状態になってしまったことである。大
学側の説得にもかかわらず、投石等が行われたため、大学が機動隊導入を要請せざるを得
なくなり、機動隊の力によってバリケードを排除し試験を実施した。もし、機動隊導入を
導入を行わず試験が実施されなかったら、社会から非難を受け、受験者からは損害賠償請
求等もあったであろう、現在の大学が存在しているかどうかわからない。機動隊導入は本
学の歴史にとって大きな汚点となってしまった。また、紛争期間中に教官に暴力を振るう
という事件も発生しており、教官と学生の間に大きな溝ができ、大学への信頼は失われて
しまった時期でもあった。
 また、紛争期間中には教官側から大学改革案も出されたが、構成員(教官、学生、職員)
による討議もなされず、報告のままになってしまった。紛争の下火に伴い、大学改革につ
いての熱意も冷めて紛争以前の状況に戻ってしまった。
 約10年間に亘る紛争をどのように総括し、その後の大学改革に生かされたか....。福
井大学を留守にしていたので知らない。 当時の改革基本方針によれば、「教官、職員、
学生の三つのグループで構成され、立場は異なるが、研究・教育を生命とする大学の基本
原則の下に集まったものであり、運営に関しては、それぞれの意見を表明し、充分その疎
通をはかる。」と述べられていた。
 現在は、教育学部自治会、工学部学友会、全学教官会議、職員会議も消滅している。両
学部の教授会のみである。
 当時の基本方針はどのように生かされるのであろうか....。
 今また大学改革が求められている。18歳人口減による大学の生き残りの問題もある。
 福井大学が約10年間の紛争の反省に立った個性ある大学像を示してもらうことを希望
して筆をおくことにします。
                       (こぎ・のぶまさ 附属図書館事務長)




「ミード・ペーパーズ」の長旅


                                    伊 藤 勇

 私の手元に、シカゴ大学図書館から取り寄せた35oリール 9巻のマイクロ・フィルム資
料がある。「ミード・ペーパーズ」と呼ばれるこのコレクションには、ミードの手紙・草
稿・講義録等が大量に収められている。
 ミード(George Herbert Mead:1863-1931)は、19世紀末から今世紀初頭にかけてシカゴ
を舞台に活躍した思想家で、1920年代から30年代に黄金期を迎えたシカゴ学派社会学の草
分けの一人だ。彼の名前と学説は、学派の衰退とともに一時期忘れ去られたが、近年、現
代社会学の新展開とともに再び脚光を浴び、現在では様々な再検討が盛んに行われている。
 ところで、このミードという人物は生涯に一冊も本を書かなかった人で、今日ミードの
著作とされるものは実はすべて、彼の死後に編集・刊行された彼の講義録や草稿、雑誌論
文などである。日本でも翻訳されている『精神・自我・社会』などもそれで、彼の「主著」
として最も頻繁に引用されるテキストなのだが、これは、ミードが晩年行った社会心理学
の講義の速記録や学生ノート等を彼の弟子モリスが編集して一著に仕立てたものなのだ。
元々の素材が速記録(学生が速記者を雇って記録させたもの)や学生ノートである上に、
モリスがそれらに相当に編集を加えているので、勢いテキストとしての信頼性が問題とな
る。ミード研究が進むにつれて当然この問題が強く意識されるようになり、今では、こう
いった講義録などではなく、彼が生前に発表した雑誌論文や記事を第一の拠り所にしてミ
ードを論ずることが通例になってきている。それでも、死後刊行の著作には、生前の自著
論文では彼が僅かにかあるいは全然言及していない概念や議論が含まれており、しかも、
それが魅力的なものだから、問題を感じながらもやはり引用されることが多いのである。
 「ミード・ペーパーズ」はこうしたテキストの問題を解決する一つの手がかりだった。
ここには、上記の『精神・自我・社会』の素材となった速記録やノート、編集者のメモや
手紙が収められている。これらを丹念に調べれば、あるいは編集の過程が再現できるかも
しれない。もっとも、元々が講義録なのだから、それが本当にミードが語ったことかどう
かの決着は最終的にはつけられない。しかし、少なくとも、編集者による加工・脚色の程
度は明らかになるであろう。
 こう思ったのはもう10何年か前、大学院生の頃である。いつか手を着けてやろうと思い、
当時研究室にあったマイクロ・フィルムから必要と思われる部分をコピーしておいたのだ
が、結局、最近まで店晒しにしてしまった。他の仕事にかまけていたこともあるが、何と
いっても、私の面倒くさがりが最大の理由である。
 コピーもずいぶん色褪せた3年前、ミードについてアンソロジーを出す、ついてはお前も
書けと恩師から誘いを受けた。こちらの性分を見抜いた上で絶妙のタイミングで尻を叩い
てくれる。恩師とは実に有り難いものである。あれこれテーマを考えているうちに、放り
投げてあったこの問題に手を着けてみようという気になり、例のコピーを読み返してみた。
相当の時間をとられてしまったが、小さいながら一つの発見があり、それを論文のイント
ロにして書き上げることができたのである。
 ところで、「ミード・ペーパーズ」から引用するにはシカゴ大学図書館の許可を得る必
要があるのだが、その許可依頼のついでに、この際マイクロ・フィルムの現物を取り寄せ
ようと考えた。引用許可は程なく得ることができた。問題は、マイクロ・フィルムだった。
手紙を出してからしばらくして、担当者から電子メールが届いた。リプリント希望のフィ
ルムはこれこれでよろしいかという確認と250ドル送れという内容。折り返しメールすると
ともに、別便で小切手を送った。「案外に安いし、なかなか迅速にやってくれるものだ」
と感心しながら、フィルムの到着を待つ。待ちわびること3ヶ月、なかなか届かない。心配
になって催促メールを出すと、「お待たせしてすみません、リプリントに手間取っていま
した。もうすぐ出来ます。出来上がり次第発送します」との返事。まあそういうこともあ
るかなと、鷹揚に構えてさらに2ヶ月待った。それでも送られてこない。さすがに胃もたれ
がし始めて再度メールすると、「ちょうど先週お送りしたところです。ご安心下さい。た
だ、規則が変わって、海外には船便でしか送れませんでしたので、悪しからず」と返事。
船便!!結局、現物を手にしたのは、それからさらに2ヶ月後だった。
 かくしてやっと手に入れたマイクロ・フィルムだが、今また私の書棚でほこりをかぶり
始めている。次に「発掘」に取りかかれるのは、いったい何時のことだろうか・・・
                          (いとう・いさむ 図書館委員)





外国語と私の本棚


                                   林 明 久

 日本人は外国語好きだと良く言われる。そして、その割に外国語が下手だとも言われて
いる。この場合、外国語とは欧米の言葉、特に英語のことであることが多い。だから本屋
さんには英語のHOW TOもの、さらに日本語と欧米語の違いなどを論じた本が所狭しと並ん
でいる。
 私も典型的な日本人の一人のようで、そんな類の本を何冊か持っている。もっとも私は
あまり本を大事にするタイプではないので、私の本は本棚に奇麗に整理されているのでは
なく、研究室のパソコンの横や自宅のテレビの横に雑然と積まれている。そう言えば学生
の時には持っていた本の大半が登山靴に化けたこともあった。
 私を含めて日本人の英語下手は結構有名である。ドイツのある物理の研究所に若い中国
人研究者が来る事になった。物理の研究者は互いに外国人の場合は英語で話すのが普通で
ある。この人は英語にあまり自信がなかったで研究所のボスに、やっていけるか非常に心
配であることを片言で伝えた。するとボスは、「確かに君の英語力はいまひとつである。
しかし心配するな。日本人よりは余ほどましである。」と言って慰めてくれたそうである。
これは私がドイツに居た時に、当の中国人から直接聞いた話である。その時は大いに笑っ
たけれどちょっと身につまされる話で複雑な心境であった。
 物理の世界では英語は国際語というより完全に共通語となっている。英語が得意でない
私などは研究会などで英語が得意な人に早口でまくしたてられ充分な反論ができずに悔し
い思いをしたことも多い。『英語支配への異論』(津田幸男編著)でいうところの"言語差別"
の一種であろう。こういった"英語支配"から解放されるためには、「英語は数千もある世
界中の言語の一つにすぎないと認識すること」とあり、全くそのとおりなのだが相手がそ
のように考えてくれないので始末が悪い。
 悪戦苦闘しながら英語を話していて困るのは、英語の単語が出てこない時である。やさ
しい言葉でその単語の意味を説明すれば良いのだが、それがまた難しい。結局、英語で物
事を記述する能力が不足しているのだ。『日本語が見えると英語も見える』(荒木博之著)
には、日本語の特徴であるオノマトペアを英語で言い替える例がたくさんあげられている。
"さらさらした雪"は、"dry and powdery snow"と言えばよいそうだ。
 ところで上の中国人と私の話を横で聞いていたのがブラジルから来た人であった。彼は、
「君達は今、英語で話している。僕達にも分かるようにわざわざそうしているのか?」と
真面目な顔で聞く。私は、一瞬虚をつかれた感じがしたが、なるほどブラジルから見れば
日本と中国は全くの隣どうしである。中国と日本の歴史的な文化交流や日本が中国から文
字を輸入したことも彼らは良く知っている。その二人がどうして、中国語や日本語ではな
くお互いに不自由な英語で話しているか不思議であると思ったに違いない。
 このことは実はドイツ人にも良く言われた。あるドイツの友達が言う、「日本人が欧米
の言葉を学ぶのが大変なことは良く理解できる。だって、ドイツ人が日本語を話せるよう
になるには想像を絶する努力が要りそうだ。」、ここまでは良い、なかなか良い友達だ。
しかし、彼は続けて、「でも、欧米ではなくアジアの言葉だったら、教養ある日本人は二
つや三つ話せるのだろう?」と聞くのである。
 これは決してイヤミではない。心やさしい彼は私が次のように答えるのを期待していた
のだ。「そのとおり。君達教養あるドイツ人は、英語は堪能だしフランス語も不自由しな
い。でもドイツ語もフランス語も英語も同じインドヨーロッパ語族とかの仲間じゃないか。
いつかドイツのテレビで英語の初等講座を見ていたら、"I speak English."、"You speak
English."ときて次は"He speaks English."だ。ところがここで何の説明もない、いや君
達には必要がないのだ。どうして"He"の時は"speaks"となるのか、日本の中学では先生は
説明に苦慮するのだ。これが原因で生徒が落ちこぼれることもある。その点、アジアの言
葉だったらちょっと勉強すれば二つや三つ意志疎通に不自由しないよ。」 
 しかし、アジアの言葉を二つや三つ話せる日本人はいったいどこにいるのだろうか?そ
もそも中国語や朝鮮語は日本語とどの程度似ているのだろうか? 
 そんな疑問を持った私は果敢にもNHKラジオ『中国語講座』に挑戦した。半年ばかり一生
懸命やったけれど、数年たった今はまるで頭をリセットしたように何も残っていない。た
だ、半年分のテキストとテープが今でも私のカセットデッキの横に並んでいるだけである。
 最近の若い研究者には英語を上手に話す人が多い。中学校などでの英語教育も私たちの
時代とはずいぶん様子が違う。不十分ながらも定期的にネイティヴに教えてもらう機会が
あるらしい。こういう機会はもっともっと増やすべきである。リスニングなども重視され
ており高校入試でも試験がある。大学を卒業して初めて英語で外人と話す機会のあった私
などの世代とは自ずから違うはずである。
 リスニングといえば、私は英米人の英語を聞くのが苦手である。これは日本人にはよく
あることのようだが、ドイツ人の英語が一番わかりやすい。英語の映画をみてもほとんど
分からない。『映画英語のリスニング』(森田勝之編著)のCDを聞いていると、"You've got
to be kidding."(冗談だろう) というのがどうしても聞きとれない。解説によると、これ
は、"ユーガダビキリン"と聞こえるから注意せよとある。そう言われるとそのとおりであ
る、カタカナを通じて初めて分かる。
 今の中学生の多くがカタカナを経由せずに"You've got to be kidding."を聞きとれる
日が来るのだろうか?それとも、そんな必要はないのだろうか? 「英語は数千もある世界
中の言語の一つにすぎないと認識」しつつ、なおかつ英語をさらっと話せる世代が育って
欲しいものである。
 私のほうは相変わらず、本屋さんで、「なぜ、日本人は英語が下手なのか?」とか「日
本人の英語はここが間違い!」などのタイトルの本を見かけると、思わずドキッとして手
が伸びてしまい、本棚に加えるというよりは机の上に積んでおくことになるのである。
                         (はやし・あきひさ 図書館委員)





「図書館革命」


                            渡辺 美奈子、清水 暁代

 あるテレビ番組で「子供の図書館離れ」についての特集がありました。それによると近
頃、図書館を利用する子供の数が減少しているそうです。その原因は、子供がテレビゲー
ム等に夢中になり、本を読まなくなってしまったこともありますが、図書館自体に魅力が
ないことも原因の一つだそうです。魅力ある図書館とはどのようなものか考える前に図書
館利用について簡単なアンケートを実施しました。

 《対象》教育学部養護課程3年22名(男子3名、女子19名)

 Q1.あなたは図書館をどのくらい利用していましたか?

	  毎日  週1〜2回	 月2〜3回	ほとんど利用しない
 小学校   8		4	   3		7
 中学校   1		0	   2		19
 高校	   1		8	   10		3

 Q2.どのように利用していましたか?
<小学校>・本を読む   <中学校>・本をかりる   <高校>・テスト勉強
	 ・遊ぶ				       ・本をかりる
	 ・紙芝居を聞く			       ・調べ物
 
 アンケートから小、中、高で図書室の利用頻度と利用目的が異なることが分かります。
小学校では、遊び感覚で利用する児童が多く、中学校では、利用する生徒は、減少する傾
向が見られます。高校生になると本を借りたり、読書をしたりするよりは、テストや試験
勉強で利用することが多いようです。
 次に、福井大学附属図書館についてアンケートをとりました。

 Q1.今現在、あなたは福井大学附属図書館をどれくらい利用していますか?
	 毎日	 週1〜2回	月2〜3回	ほとんど利用しない
	  2	    15	   5			0

 Q2.どのように利用していますか?
	・文献検索		 ・新聞を読む
	・勉強する		 ・暇つぶし
	・本をかりる		 ・調べ物

 Q3.あなたは福井大学附属図書館に満足していますか?

	  大満足  満足  普通  不満  大不満
	   0    3   2   10	2

 <満足しているところ>
  ・夜遅くまで開いている
  ・他の図書館に置いていない本がある
  ・親切である
  ・冷暖房完備
 <不満なところ>
  ・本、文献が少ない
  ・本が探しにくい
  ・暗い
  ・新しい本がない 
  ・テスト期間中うるさい
  ・図書館の利用の仕方がよく分からない
  ・書庫がよく分からない
  ・冷暖房がきいていないときがある
  ・24時間営業にしてほしい
  ・質問しづらい雰囲気である

 アンケートから、福井大学附属図書館をフル活用出来ていない人が多いようである。テ
レビ番組の特集では、図書館は大きい棚に本が詰まっていて、横に机と椅子が並べてある
という殺風景な図書館が全国的に多いとのことでした。ある図書館では、子供の図書館離
れを防ぐ対策として、こたつを置く、マンガを置く等して、子供たちが行きたくなるよう
な図書館づくりを考えているそうです。私たちも一度こんな図書館があったらいいなとい
うのを頭に描いてみてはおもしろいのではないでしょうか。しかし、図書館は、みんなが
利用するものです。私たち一人一人がマナーを守ることも、魅力ある図書館に近づく第一
歩だと思います。本の宝庫を無駄にしたくないものです。
      (わたなべ・みなこ、しみず・あきよ 教育学部養護学校教員養成課程3年)
 




文献の収集


                                 武 澤 聖 市

 去年、卒業論文を書くにあたって、図書館をおおいに利用させていただいた。卒論には
かなり早い時期から着手していたこともあって、3年生の頃から専門書を読むことが次第
に増えることとなり、他大学にある図書をよく取り寄せてもらった。現在も大学院で修士
論文に着手しているので、このシステムを利用させてもらっているが、これがなかったら
卒論はただのレポートと化していたに違いない。
 ただし、取り寄せてもらった本や文献が必ずしも役に立つとはかぎらない。本の題名や
著者名だけでは、その中身まで想像できないこともあって、幾度となく切手代だけを払う
ということがあった。貧乏学生にはこの千円から二千円の切手代がたまらなく惜しいのだ
が、もう後の祭り。一種の博打で負けた時のような気分になる。この博打に勝った時は何
ともいえない安心感と充実感がやってくるのだが、当然それだけでは自分にとって身や肉
には決してなってくれない。
 まず、それを読んで、必要なところをコピーしてファイルに閉じておく。そうすれば、
実際にその本を買うよりも安上がりで経済的だし、何の躊躇もなく文字を書き込むことが
できる。
 いつもそうなのだが、読みたいと思った本は売っていない。注文しても実はもう絶版に
なっていたということが多々ある。最近は、研究室のパソコンでインターネットを使って
欲しい本の情報を集めることにしているが、全国の大学図書館のどこかには必ずその本が
あるもので、それをメモして、福大図書館の受け付けに申込書を提出する。すると、1〜
2週間でその本や文献が届く。このほうが確実でそれほど手間もかからないから、ぼくは
本屋に頼むよりもこのシステムを利用するほうを確実に多く選択している。
 これからも、ますます図書館を利用する機会が増えることは間違いない。図書館なしで
論文を書き上げることは不可能なのだから。
               (たけざわ・せいいち 教育学部大学院教育学研究科1年)





「温もりのある図書館」


                                 安 達 昌 代

 私は大学院に入学した4月、これから頻繁に利用するであろう図書館に見学に行きまし
た。その時の正直な感想は古いなあというものでした。書庫に入ってみてまた驚きました。
迷路のような通路や書架に積み上げられた本にはうっすらと埃が被っているものもあって、
なにか大きな古本屋に迷いこんだような感じでした。私はいつも書庫の新館二階を利用し
ていたのですが、そこはとても静かであまり人の出入りもなく久しぶりに「図書館」に来
たなあと感じていました。
 でも、こんな古き良き図書館の要素も残しながらコンピューター検索や図書館ネットワ
ークでの文献複写の設備が整っていて非常に利用しやすいのです。司書の方も丁寧に対応
して下さり、文献が到着したときに電話で連絡をして頂いた時はとても驚きました。図書
館ネットワークでの文献複写の場合、まず国立大学の文献を調べてくれます。国立にその
文献が無い場合は国会図書館や私立大学を検索して下さるのですが、それは文献複写にか
かる費用が安く到着が早い順番を考慮した順番なのです。費用の支払いも簡単で(郵便局
又は各銀行での振込み)、私は2年間を通じて頻繁に利用させて頂きました。4月に古い
なと感じた時、同時に書籍の少なさにも不満を感じていたのです。その不満がこのサービ
スを利用することでなくなっていきました。このサービス自体便利なものなのですが、司
書の皆さんの親切な対応がより使い易いサービスになっているのが福井大学附属図書館の
特徴ではないかと思います。
 ところで、私は昨年六月から七月にかけて普段よりも頻繁に図書館に通いました。教員
採用試験の試験勉強の為です。そこには同じ試験勉強をしている学生がたくさんいて、最
初はとても妙な感じがしました。でも、慣れてくると高校3年生の頃の大学受験期に教室
で自習をしているときの懐かしい感覚を思い出しました。同じ目標に向かって、もしかし
たらライバルになるかもしれない人と、でも、がんばっている目標は同じなんだという安
心感と連帯感を持って机に向かっていました。全く知らない人と試験の情報交換などもで
きたりして、公立図書館やいくつも学部がある大学の図書館では感じられないアットホー
ムな雰囲気がとても居心地よかったです。
 これらが私が図書館で経験したなかで特に印象に残っていることです。情報化社会で人
間も事務的に合理的に動きがちな今日、こんな人間の温もりの感じられる図書館は少なく
なっているのではないかと思います。だからこそ利用者に人間的な対応ができる素敵な面
をなくさないでほしいなという希望を福井大学附属図書館に託したいと思います。
                (あだち・まさよ 教育学部大学院教育学研究科2年)






客観的認識欠如がもたらす波紋


                                  佐々木 紀彦

 電子工学科はレポートが多いことで知られている。2年生の後期は毎週、実験レポート
を30〜40枚書いていた辛い記憶がある。レポートの中で分からない質問を図書館の本
で探して、「見つけた」と思うと、またその答えと思われる文献の意味(言葉)が分から
なくて、また本を探す。そのことを繰り返し、繰り返し行う。時には友達と一緒に考える。
そしてレポートの質問に対してよく話している。そうしていると決まって「図書館の中で
は静かにしてください」と事務の人が言いにくる。『お決まりのパターン』っていうやつ。
だけど僕は自分に言い訳する。「これは雑談じゃないんだ」っと。周りの人も事務の人が
いなくなると話しだす。
 そんなこんなで、ある日のこと。また僕は友達とレポートの分からないことについてペ
ラペラと話している。その日は地声がかなりうるさい友達と僕だからペラペラというか、
かなりうるさかったと思う。あーでも無い、こーでも無いと試行錯誤していると一人の女
の人(生徒)が僕たちの目の前に来て強い口調でこう言った。「周りの人達の迷惑なんで
す。きっと周りの人達も『うるさい』って思ってるんだけど言わないだけなんですよ。喋
って勉強するんだったらグループ学習室に行けばいいじゃないですか」っと。その場は沈
黙した。僕たちは言われたとおりグループ学習室に撤収した。切れていた友達もいたが図
書館の中でこんな風に学生に言われた記憶があまりない僕は反省した。
 日は経ちテスト期間中。何曜日かは忘れたが、次の日にテストがある予定。『この教科
を落とすと留年かも?』と精神的に崖っぷちに立っていた時があった。真面目に勉強して
いると周りがだんだんと、うるさくなってきた。集中力はプチーンと切れてNOISEだけ聞こ
えている状態になった。『うっせんだよ!こっちは留年かかってんだよ!』って半切れ状
態。だけど僕も図書館でよく話している身、何も言えない。きっと騒がしくなっても注意
をしない人は僕と同じように自分に保険をかけているのだと思う。『自分もうるさい時が
あるからって』
 いつの間にやら3年後期になった。3年になっても相変わらず実験レポートがたくさん
ある。ぼーっとしているとレポートが貯まってしまうので、図書館に足を運ぶ日が続いて
いる。3階に行くとザワザワと話し声が聞こえてくる。電子工学科と思う2年生が実験レ
ポートについて話し合っている。なんか1年前の自分達を客観的に見ている、そんな変な
感じがした。しばらくすると、事務の人が来てお決まりのようにこう言う。「静かにして
ください」って。
                    (ささき・のりひこ 工学部電子工学科3年)







「ポルフィリンを探せ!」


                                 榎 本 一 生

 私は、今現在生物化学工学を専攻している学生であり、ポルフィリン(porphyrin)と
いう物質について書かれている文献を掻き集めている最中である。ここで、私という人物
のことはまあよしとして、ポルフィリンについて少し説明を加えたい。そもそもポルフィ
リンとは、生体内で電子伝達を行うのに重要な働きをしている物質で、例えば人体で言え
ば赤血球内のヘムの中心として酸素運搬に一躍を担うものであり、植物中では光合成を行
うのに必要不可欠である葉緑素内で電子伝達を行っている物質である。加えて、この物質
の基本構造であるポルフィン(porphin)は、分子量が1000弱で有機化学により人工的に
合成することが可能である。つまり、研究対象物として価値があるという訳である。私の
研究テーマは、このポルフィリンをマトリックスにして用い、太陽可視光をエネルギーと
して利用し、水を分解させ酸素と水素を得ようという取り組みである。水を分解するとい
う意味について少し詳しく説明を足すと、エネルギーとして太陽光を吸収したポルフィリ
ンが以下の式のように、

  2H2O → O2 + 4H+ + 4e−

水(H2O)を酸化し酸素(O2)とプロトン(H+)と電子(e−)にすることであり、更にこ
の状態から上手く2H+が電子を受け取ると水素発生も可能となる。これらの研究の意図する
ところは、地球上で豊富に存在する水を用い太陽光(可視光)を別のエネルギーに変換す
るという試みである。もし、この研究テーマに興味を持たれた生物化学工学科の学生は4
年生になったら、是非私どもの講座へ配属を希望してください。話しが逸れましたが、そ
んな訳でポルフィリンについての文献を探し求めている訳である。ところが、この文献探
しという作業が意外に大変で、星の数ほど在ろうかという文献の中から自分の必要とする
内容物を見つけ出すのはとても骨が折れる。更に、この文献およびそれを探す際に重要と
なってくる“abstract”が英語で書かれているので、英語の苦手な私にはちょっぴり辛い。
しかしながら、このちょっぴり辛く骨が折れる作業であるが、やるからにはそれなりの理
由がある。私の先輩である谷崎氏の言葉を借りるならば、「日本語で書かれている教科書
や専門書では内容に限界がある、ある研究についてより詳しく知ろうとしたり、最新の内
容を得ようとするならばその事について書かれている文献を読むのが一番良い方法である。
」とのことだ。その他にもいろいろな解釈があるとは思うが、私はこの言葉を胸に今日も
ポルフィリンについての文献探しに精を出すのである。
             (えのもと・かずいき  工学部大学院生物化学工学専攻1年)



組 織 再 編 に つ い て

 
                      塚 崎 卓 美
                      tukasaki@karin00.flib.u-fukui.ac.jp
 附属図書館では、本年4月1日から,定員削減が行われるため,より少ない人数でもサ
ービスの低下を招かないよう事務を集中化・一元化し、また、これまでの組織体制での事
務の不備を見直し、さらに、今後の電子図書館的機能の充実、高度化に向けて組織を再編
します。
 具体的には、
  @物品と図書館資料の契約事務を総務係へ一元化することにより事務の効率化を図る。
  A雑誌情報係を設け、雑誌のOPAC(オンラインによる利用者用目録)を構築する。
  B運用係と参考係を統合し、カウンター業務を一元化することにより利用者サービス
   の充実・向上を図る。
  C今後の電子図書館化への対応・強化を推進するため、電子情報係を新設する。
 です。
 新組織と各係の主な業務(抜粋)は,次のようになります。

 ●総務係                           (内線2273)
    ○図書館における庶務・会計に関すること。
     ・委員会、会議等に関すること。
   ・規程の制定、改廃に関すること。
   ・物品の管理、供用に関すること。
   ・予算の管理に関すること。
   ・物品、図書及び逐次刊行物の契約、受入に関すること。
   ・その他、他の係に属さないこと。
 
 ●図書情報係                         (内線2286)
    ○図書に関すること。
   ・図書等の収集、選択、分類に関すること。
   ・図書等の目録に関すること。
   ・図書等の装備に関すること。
   ・図書の受け渡しに関すること。

 ●雑誌情報係                         (内線2275)
  ○逐次刊行物に関すること。
   ・逐次刊行物の収集、選択に関すること。
   ・逐次刊行物の目録に関すること。
   ・逐次刊行物の受入に関すること。
   ・逐次刊行物の装備に関すること。
   ・逐次刊行物等の受け渡しに関すること。
   ・コンテンツ・シート・サービスに関すること。

 ●情報サービス係                       (内線2276)
  ○学術情報提供、利用者支援に関すること。
   ・図書館資料の貸出・返却に関すること。
   ・雑誌製本に関すること。
   ・文献複写・図書館資料の相互貸借等に関すること。
   ・レファレンスサービスに関すること。
   ・利用者教育に関すること。

 ●電子情報係                         (内線2271)
  ○電子図書館化に関すること。
   ・各種データベースの収集、選択、提供に関すること。
   ・OPACの構築に関すること。
   ・業務用電子計算機システム等の維持・管理に関すること。
   ・広報(情報発信)に関すること。

 なお、図書館に関するご意見・ご要望がありましたら、各係までお気軽にお問い合わせ
ください。
                         (つかさき・たくみ 管理係長)


勉強、発表、レポート、卒論!どんとまかせなさい

                       木 村 幹 明
                       kimura@karin00.flib.u-fukui.ac.jp
 みなさん、いよいよ新学期ですね。あこがれの大学生活に胸をふくらませながらも「大
学の講義ってむつかしいんやろか?」と不安に感じているあなた、「いよいよ卒業論文・
卒業研究に着手せなあかんのやけど、何から手をつけていいんかな?」と思っているあな
たに図書館からのプレゼントです。
 ここに「図書館の使い方、勉強法、レポート作成方法、インターネットの使い方、資料
の集め方、卒論の作成方法」などの資料を一挙にどーんと紹介しましょう。
 このほかにもまだまだ便利な資料があります。詳しくは図書館カウンターのスタッフに
相談してください。(9:00-17:00の間は、専任のスタッフが親切・丁寧にお答えします。)
                         (きむら・もとあき 運用係長)


書庫内図書の遡及入力実施中

                        田中 美智子
                        tanaka@karin00.flib.u-fukui.ac.jp
 図書館では,平成9年4月から書庫の図書で,OPAC(利用者用オンライン蔵書検索シ
ステム)未入力図書のうち,利用者が多いと思われる社会科学分野約37,000冊のものから,
図書目録情報を,過去に遡ってOPACに登録(遡及入力)しています。
 その他に,OPAC登録済のデ−タの内で,業者入力の簡略(検索項目が非常に少ない簡
略な形で入力された)デ−タ約20,000件,また多巻もの(百科事典等固有のタイトルも部編
名ももたない複数の出版物理単位からなる資料)等の書誌デ−タの統廃合など,デ−タの整
合及び整備も遡及入力をやりながら行っています。利用される皆さんにとって,OPAC
が利用しやすいものになっていくよう努力しています。
 遡及入力は,平成9年度 11,459冊・平成10年度は,平成11年1月末現在 9,009冊と
合計 20,468冊の入力をいたしました。まだまだ,本学が過去数十年にわたって収集所蔵し
た図書のほんの一部の入力です。
 しかし,この一部の遡及入力をすることによって,ホコリをかぶり死蔵されていた図書
が動きはじめました。学術情報センタ−に登録し,本学のOPACに入力登録することに
より,学内を始め,全国の図書館からの相互貸借・利用という道を歩きはじめました。
 図書という先人達の苦労し集めた財産を活かし,資料としての図書を有効利用するため
にも,遡及入力は基盤となります。
 図書の価値は利用者が決めます。その利用者の選択の幅を広げるうえでも,遡及入力を
早急に推し進めていく必要があると思われます。
 新着図書登録の合間の作業のため、遡及入力は,遅々として進みませんが,より検索し
やすい,より正確なデ−タを入力しようと思っております。デ−タに関するご意見をどし
どしお寄せください。また,遡及入力の作業中はご迷惑をおかけするかもしれませんが,
ご協力ください。
                          (たなか・みちこ 整理係長)


図書館電算機システムのリプレースについて

                       西 野 正 敏
                       nishino@karin00.flib.u-fukui.ac.jp
 附属図書館では、昭和61年の情報処理センターの開所以来、緊密な協力関係のもとで、
図書館資料の受入から目録、検索、閲覧等の各業務の電算によるシステム化を行ってき
ました。
 今回(平成11年3月稼働予定)もまた、情報処理センターの電子計算機システムのリプ
レースと一体となって、UNIXをOSとしたクライアント・サーバ型システムによるトータル
な図書館業務の電算化を行います。
 新図書館システムは、富士通叶サの図書館パッケージであるiLiswave(アイリスウェーブ)
を導入します。
 システムの特徴としては、
  ○学術情報センターの新CAT/新ILLに対応しています。
  ○業務サーバと検索サーバを分離し、サーバの 負荷分散を図りました。これにより、
   多人数による同時アクセスが可能となります。
  ○利用者用PCを1階情報検索コーナに6台、2階・3階閲覧室に各々2台配置します。
  ○図書館利用者が望むサービスを実現します。
   図書館と研究室とのやりとりをネットワーク化することにより、図書館業務の合理
   化、活性化、効率化を図ることが可能です。
    例えば、
     ・図書館資料のリクエスト
     ・図書購入手続き
     ・予算執行確認
    等のサービスが可能です。
  ○OPACはWWW,Telnet,Windowの3種類があり、利用者の望む環境での24時間どこから
   でも検索が可能です。

 以上、おおよそのリプレースの概要ですが、システム及びデータ移行にかかる様々なト
ラブル等が想起されます。利用者の皆さんにはご迷惑をお掛けしないよう配慮いたします
ので、どうぞご協力のほどをお願いいたします。

 新図書館システムの主な機器構成としては、以下の図のとおりです。
                         (にしの・まさとし 参考係長)


附属図書館内の図書・雑誌類の充実について

                                              永 田 育 男
                                              nagata@karin00.flib.u-fukui.ac.jp
 本学の学生やOB、それに教職員の方々などから喜ばれる図書館造りとして、表題の事
項が先ず揚げられることは当然のことと思いますが、その方策について一考してみたいと
思います。その理由としては、本学の図書館の蔵書について本学の学生(留学生等を含め
て)などからの要望を耳にしたり、また関係する統計のデータを参照しても他の大学と比
べると蔵書の種類や数などが劣っていることがわかります。このように、将来の本学の在
り方にも影響があるように思えますので、少し検討してみたいと思います。
 また、それ以前に本学附属図書館を取り巻く環境も変化しており、広く世界における国
際貢献という立場から、また一方は我が国の政策、文部省の方針など先端科学技術の発達
に伴い欧米先進諸国の高等教育の水準(研究者として自立して研究活動を行い、創造する
能力を培う教育水準)が要求されて久しいと言ってもよろしいかと思います(昭和49年3月
大学審議会答申。翌昭和50年4月大学院設置基準の制定及び学位規則の一部改正)(昭和5
1年6年学校教育法の一部改正)。実際に留学生の受入れが各大学においても行われ、また
一方では工学系の大学院の博士課程の新設や修士課程、学部学生数の増加等に見られます
ように何らかの変遷が、近年特に多くあったように思えます。
 本学においても、工学部学部学生数、工学部博士課程の新設、及び留学生の受入数等に
ついて、平成の年度だけを抽出しても800名以上の学生が増えていることとなり、この数
は本学教育学部の学生定員とほぼ同数になります。ということは、学生数だけを見ますと、
もう一つ本学に学部が出来た勘定になるわけですが、ではその学生数の増加に相対して図
書資料の予算の増加はどうであったかと言いますと、ほとんど変わっていないのが実状で
す。これまで本省から院生経費、留学生経費の追加配分があっても、図書館資料に配分さ
れることは、ありませんでした。そこで次に、その蔵書を増やしていった予算的な処置の
経緯を説明します。
1 予算の要求
 平成5年から9年までに同様の理由から特別に500万円要求し、特別開架予算として開架
図書の充実のために配分がありました。しかしそれも昨年度で終了しましたので、今年度
からは年度当初の所要額調べに学生数の増加に伴う予算要求として300万円計上したところ
100万円の増額が認められました。
 その他、電気・通信事業財団の奨学寄付金に応募し、今年度から主として電気・通信の
関係する分野に50万円(内訳は別紙のとおり)、向こう5年間の寄付の申し出を得ること
となりました。
 また、昨年度の本省への別枠での予算要求が通り、年度末に1,200万円のCD−ROM
(CA on CD 12CI & 13CI)の購入が可能となりました。
 このように大学全体から見れば、わずかな額かもしれませんが、また、要求したものが
全て通ったわけではありませんが、今後とも少しでも機会があるたびに要求していくつも
りでいます。
2 予算の執行
 では前項のように予算の配分があり、その図書館分の執行はどのようになっているのか
と言いますと、先ず配分については次の用途別に各項目ごとの継続分の資料に今年度の執
行計画を加算し、附属図書館委員会において審議、決定します。それに基づき項目によっ
ては各図書委員の先生方に各学科等において選書・推薦をして頂いています。
 また、直接、当職から全教官等へ、開架図書の推薦を文書やE-mailにより依頼していま
す。他に本学附属図書館のホームページにその案内文を掲示したり、図書リクエスト用紙
を図書館カウンターに置いたり、考えられる限りの周知を計っています。
3 実状
 次にそのアナウンスの成果の程はどうであるのかと言いますと、上記1、2に掲げたと
おり予算を要求し、執行にあたり、各方面にアナウンスしても各教官、学生等から推薦並
びに申込みがあるのは、限られた方々の場合が多く、全く提出のない分野もあります。本
学図書館の資料充実のために調査し推薦していただいている先生方もおられますが、自分
の教官室に置く図書の要求伝票はたくさん提出するのですが「学生のために」ということ
になると別となるような先生方もおられたような気がしました。図書館のカウンターにい
ましても学生から、OPACで検索したところ読みたい資料が教官室にあるのでどうした
ら良いのか、という相談もあるように聞いていますが、重複本として図書館にも配架でき
るものは予算の範囲内で購入できますが、無理なときにはその所蔵する教官まで閲覧を頼
みに行かれていることもあるように聞いています。
 後に当該教官が書棚を整理したり退職する折りなど、重複本として不用決定の手続きを
とったり、また学生に手渡した資料が不明本となって弁償の責に任ずることもありますの
で、また今後の課題になるようにも思えます。
 最後に、これからも前述しました本学学生・教官等にプラスとなる資料を、機を見て配
架していこうと考えています。
                                                (ながた・いくお 学術情報係長)


全国共同利用図書(大型コレクション)及び自然科学系特別図書の案内

 下記大学から、全国共同利用図書(大型コレクション)及び自然科学系特別図書の利用案
内がありましたので、お知らせします。
 なお、資料の利用等につきましては、参考係(内線2277)までお問い合わせください。

                                               (平成10年4月〜平成11年2月受付分)


<大学名>             <資      料      名>

島根医科大学 続医薬品の開発/鈴木郁生[ほか]編 廣川書店 
          全21巻付臨時増刊(31冊)
 
大阪教育大学  子供、高齢者、麻薬、アルコール中毒者に対する”いじめ、虐待”
                  に関する欧米文献コレクション(一般文献及び学位論文)
                  
千葉大学 下総佐倉藩堀田家文書(マイクロフィルム版)
                   
帯広畜産大学  Biotechnology in Agriculture and Forestry
                   Vol.2,3,5,8〜40

岡山大学  ドイツ教育思想コレクション

東京工業大学 NASA Technical Report 1993〜1996年分
         (マイクロフィッシュ版)   
                                 
熊本大学  多機能性有機分子の精密科学体系
                   Comprehensive Heterocyclic Chemistry II 1982-1995 &
                   Comprehensive Supramolecular Chemistry
                   22 Vols with CD-ROM
                                    
豊橋技術科学大学  Chemical Abstracts Collective Index
                   12CI 13CI (CD-ROM)
                  
新潟大学  American Dissertations of Japan Sea Rimearea Pt.II
                   (環日本海研究<人文・社会編>米国学位論文集)
          722 Titles 724冊
三重大学 百部叢書集成(初編・続編・三編)

北見工業大学 Handbook of Ternary Alloy Phase Diagrams. 10 Volumes Set
                  (三元合金状態図集ハンドブック 全10巻)


1999年 図書館開架雑誌リスト

洋雑誌

Analyst
Analytica Chimica Acta
Analytical Chesitry
CA on CD
Current Contents  CD-ROM. Agriculture, Biology & Environmental Sciences
Current Contents.(冊子体) Art & Humanities
Current Contents  CD-ROM. Clinical Medicine
Current Contents  CD-ROM. Engineering, Computing & Technology
Current Contents  CD-ROM. Life Sciences
Current Contents  CD-ROM. Physical, Chemical & Earth Sciences
Current Contents  CD-ROM. Social & Behavioral Sciences
ERIC
Life
National Geographic
Nature
Progress of Theoretical Physics
Science
Time


和雑誌

Aera
bit
Computer Today
English Journal
ESP
Estrela
Internet Magazine
Library and Information Science
News Week日本版
Newton
UNIX Magazine
アサヒカメラ
医学図書館
遺伝
英語教育
映像情報メディア学会誌
栄養学雑誌
エコノミスト
エレクトロニクス
応用物理
オペレーションズリサーチ
音楽の友
化学
科学
科学技術文献サービス
科学技術文献速報  化学,化学工業  外国編
科学技術文献速報  化学,化学工業  国内編
科学技術文献速報  管理・システム技術編
科学技術文献速報  機械工学編
科学技術文献速報  金属工学,鉱山工学,地球科学編
科学技術文献速報  原子力工学編
科学技術文献速報  電気工学編
科学技術文献速報  土木建築工学編
科学技術文献速報  物理,応用物理編
科学技術文献速報 エネルギー編
科学技術文献速報 ライフサイエンス編
科学技術文献速報 環境公害編
化学と薬学の教室
学術月報
学校体育
学校図書館
家庭科教育
環境と公害
機械の研究
季刊女子教育もんだい
季刊統計福井
季刊日本思想史
技術教室
基礎ドイツ語
教育
教育科学 社会科教育
教育科学 数学教育
教育と情報
教職課程
金属
暮らしの手帖
群像
経済セミナー
芸術新潮
月刊URALA
月刊社会教育
月刊スキージャーナル
月刊日本語
現代化学
現代のエスプリ
現代の図書館
建築文化
工業材料
国語国文
国語と国文学
国文学
国文学  解釈と鑑賞
国立国会図書館月報
古文書研究
コンピュータ&ネットワークLAN
雑誌記事索引
百日紅(さるすべり)
史学雑誌
思想
実践障害児教育
児童心理
若越俳史
若越郷土研究
自由
就職ジャーナル
授業研究
ジュリスト
情報管理
情報の科学と技術
書学書道史研究
食の科学
書写書道教育
初等教育資料
史林
新潮
数学セミナー
数理科学
生物科学
正論
世界
繊維機械学会誌
専門図書館
川柳ばんば
総合ジャーナリズム研究
体育の科学
大学図書館研究
ダ・カーポ
旅
地学雑誌
地質ニュース
中央公論
中国語
中等教育資料
地理
地理学評論
テアトロ
哲学研究
テニスマガジン
図書館界
図書館学会年報
図書館雑誌
National Geographic 日本語版
日経Windows-NT
日経コンピュータ
日経サイエンス
日経マルチメディア
日本海作家
日本教育新聞
日本原子力学会誌
日本語
日本語ジャーナル
日本農芸化学会誌
日本物理学会誌
農業および園芸
バイオサイエンスとインダストリー
発達
柊(ひいらぎ)
美術手帖
福井県気象月報
福井の科学者
福井の文化
文学
文学界
文藝春秋
法学教室
山と渓谷
ゆきのした
ユリイカ
理科教室
理系への数学(旧:Basic数学)
理想
留学ジャーナル
留学交流


図書館この一年

<附属図書館委員会>
10.5.22 協議事項
    (1)平成9年度図書購入費執行状況について
    (2)平成10年度図書資料(大型コレクション)収書計画調書について
    (3)共同利用資料の貸出し(案)について
    (4)継続資料(赤旗縮刷版)の見直しについて
10.7.14 協議事項
     平成10年度図書購入費予算配分(案)について
10.10.9 持ち回り開催協議事項
     奨学寄附金の受入について(継続)

<五十年史編集委員会>
10.5.29 協議事項
     五十年史編集について(フリートーキング)
10.7.22 協議事項
     五十年史編集について(フリートーキング)
10.9.24 協議事項
     編集方針について(フリートーキング)
10.11.5 協議事項
    (1)執筆者の決定について
    (2)執筆要項について
10.12.10 五十年史編集委員と五十年史執筆者合同会議
     協議事項
     福井大学五十年史の執筆について
10.1.28 協議事項
     今後の学習会の予定について

<館内>
10.4.8  平成10年度新入生に対する図書館利用オリエンテーション
10.4.23-24 第49回北信越地区国立大学図書館協議会(於:福井厚生年金会館)

<館外>
10.5.25-26 平成10年度国立大学附属図書館事務部課長会議
     (於:東京医科歯科大学 小木事務長出席)
10.5.27-28 国立大学図書館協議会理事会(平成9年度第4回)
     (於:東京大学 大畑館長、小木事務長出席)
10.6.3 平成10年度福井県図書館協会理事会・総会
   (於:福井県立図書館 木村運用係長、田中整理係長出席)
10.6.14-17 平成10年度目録システム地域講習会(雑誌コース)
     (於:名古屋大学 竹内学術情報係主任出席)
10.6.15 平成10年度福井地区大学図書館協議会定例会議
    (於:福井工業高等専門学校 小木事務長、塚崎管理係長出席)
10.6.23-26 第45回国立大学図書館協議会総会
     (於:鹿児島市民文化ホール 大畑館長、小木事務長出席)
10.7.2 ケミカル・アブストラクツCD−ROM版説明会
   (於:千里ライフサイエンスセンター 西野参考係長出席)
10.7.31 平成10年度福井地区大学図書館協議会夏季研修会
    (於:ラポーゼかわだ 永田学術情報係長外4名出席)
10.8.26 平成10年度北陸地区国立大学附属図書館会計担当者会議
    (於:北陸先端科学技術大学院大学 竹内学術情報係主任出席)
10.10.28-30 平成10年度北信越地区国立大学図書館研修会
      (於:長岡技術科学大学 柳下参考係員出席)
10.11.5 平成10年度学術情報センターシンポジウム(関西会場)
    (於:大阪府立中央図書館 木村運用係長出席)
10.11.17 新IRシステム及び新CAT/ILLシステム説明会
    (於:京都大学 西野参考係長出席)
10.11.19-20 平成10年度北信越地区国立大学附属図書館事務部課長会議及び文部省ヒアリング
      (於:北陸先端科学技術大学院大学 小木事務長出席)
10.11.26 福井県図書館関係職員研修会
    (於:福井県立図書館 田中整理係長、藤田運用係員、山口参考係員出席)


人 事 異 動

氏名     異動前      異動後         発令年月日
木下知子   整理係      電気通信大学      10.4.1
                附属図書館
                情報受入係
景山祥子   運用係      退職          10.5.26
下川 勇            運用係         10.6.3
西川桂子   整理係      退職          10.5.31
平沢優子            整理係         10.6.1
矢野千鶴子           管理係         10.8.1
下川 勇   運用係      退職          10.11.13
太田達彦            運用係         10.11.16
網本幸代   金沢大学     整理係         10.12.1
(旧姓 高橋) 学生部	
       入試課
       入学試験係
五十嵐香織  運用係      退職          11.2.28
下川美保            運用係         11.3.1