【展示】関孝和と和算書展

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関孝和と和算書展を開催します。

開催日時:4月5日(金)~5月8日(水)総合図書館開館時間中
場所:総合図書館 1階コモンズ展示ブース
※学外の方もご覧いただけます。

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江戸時代、ニュートンよりも先に微分積分の基礎を発見していた日本人の算術家がいたのをご存知でしょうか?

その人の名は関孝和(せきたかかず)。「算術の神様」「算聖」といわれ、和算の発展に多大な貢献をしました。

1990年代以降、関孝和の新資料の発掘、再発見が続き、それによって、新たに決定版となる『関孝和全集(全三巻)』が50年ぶりに岩波書店から昨年(2023年)刊行されました。福井県では当館のみ、北陸の大学に限っても今のところ当館しか所蔵していないレア本です。

この『関孝和全集』のお披露目と共に、当館所蔵の和算書の展示をいたします。

関孝和以前、江戸に数学ブームを巻き起こした『塵劫記(じんごうき)』、その『塵劫記』に影響を受けてどんどん高度化した数学書のうちの一冊、『筭法根源記(さんぽうこんげんき)』、そして、数学を実際の測量などにいかすための手引書『算法地方大成(さんぽうじかたたいせい)』などです。

和算書とともに、和算のひろがりに欠かせなかった算額

和算書には、遺題といって、あえて解答を省いた問題を載せることがありました。この遺題を解いた者が、その解き方を掲載した次の和算書を出版し、その巻末にまた新たな遺題をつけて……その繰り返しで、和算は発展していったのですが、本を作る予算のない者は、解答を絵馬にして神社に奉納しました。また、算術の上達を祈念し、新たに自分のつくった問題を奉納することもよく行われたようです。その絵馬のことを算額といいます。

本学教育学部風間寛司研究室では、福井大学『郷土数学』の利活用プロジェクトチームを立ち上げて、福井県内の算額の研究を続けています。その協力で、今回の展示では、全国に残る絵付算額の中でももっとも古い「大塩八幡宮 鶴亀松竹絵入算額」の紹介をしています。

鯖江藩に伝わる関孝和 肖像画

現在まで伝わっている関孝和の肖像画には2系統あり、一つは岩手県一関博物館所蔵の系統、もう一つは富山県射水市新湊博物館蔵の系統であり、他のものはすべてその模写や派生だと考えられています。

新湊博物館の肖像画は、鯖江の斉藤家の有していた肖像画を江戸時代に模写させたものであることがわかっていますが、その原画である斉藤家の肖像画は、大正時代以降長らく消息不明になっていました。

その後、昭和51年に福井市の脇田家で発見され、今回は脇田様のご厚意により、本学での展示が叶うこととなりました。

滅多にお目にかかれない個人蔵の算聖肖像画、拝めば数学ができるようになるかもしれません。

和算の世界をお楽しみください。