福井大学総合図書館所蔵のグリフィス・コレクションをご紹介します
ウィリアム・エリオット・グリフィス(William Elliot Griffis 1843- 1928)は,明治元年4月の5箇条の御誓文中”智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ”との精神に基づき,福井藩主松平春嶽の招聘でお雇い米国人教師として来日し,福井の明新館で新暦の明治4年3月から明治5年1月まで理化学を教えました。
彼はラトガース大学に藩費留学し客死した日下部太郎の先生でもあったということです。
彼は帰国後,『ミカドズ・エンパイア』(皇国)など日本に関する多くの著書を残し,論文や日記も死の直前まで書いており、これらの遺品はラトガース大学に寄贈され,親日家グリフィスのコレクションとして今も大切に保管されています。
福井大学総合図書館が所蔵するコレクションは、昭和56年,57年に,当時の財団法人日下部・グリフィス学術・文化交流基金の事業として,本学から教員1名、図書館職員2名が、ラトガース大学アレクサンダー図書館にグリフィス・コレクションの調査に赴き、コレクションの一部を撮影および複写して持ち帰ったものです。その後、『グリフィス文書目録稿』(昭和59年),『グリフィスコレクション概要』(昭和63年)にまとめられ、資料はマイクロフィルム化し,その紙版をフォルダーに綴って利用してきました。
平成23年に総合図書館に於いて「W.E.グリフィス来福140年記念事業お雇い外国人教師グリフィス展」が開催され、この時、グリフィスが暮らした異人館の模型が,建築工学科の高島猛講師研究室の協力で作成、展示されました。模型は、平成27年開館の福井市グリフィス記念館建築時にも参考にされたとのことです。マイクロフィルムのデジタル化も行われました。
平成27年 ラトガース大学の許諾を受け、福井大学所蔵グリフィス・コレクションはweb公開されました。この公開にあたり、グリフィス研究家の山下英一氏とラトガース大学アレクサンダー図書館のキュレーター F.ペローヌ(Fernanda Perrone)氏にご協力いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
2016年12月1日公開時のコレクションは『グリフィス文書目録稿』とデジタル化したグリフィス・コレクション873点となっています。
このスクラップブック(1)~(3)は分類出来なかった資料や断簡等をデジタル化したものである
このグリフィス・コレクションはラトガース大学アレクサンダー図書館の許諾のもと公開しています。
その後加わった資料
- 2011/春 三岡八郎宛ウィリアム・エリオット・グリフィス書状 (財団法人 日下部・グリフィス学術・文化交流基金 寄贈)
- 2018/11/01 グリフィスが姉についてまとめた”SCRATCH MSS MCG MAY” (1924,5,31) とタイプ打ちされた伝記草稿(ラトガース大学アレクサンダー図書館・コピー資料寄贈)
- 2019/2/22 司馬遼太郎フェローシップ研究報告『横井大平と熊本洋学校:洋学を求めた – 若者の幕末維新』(神戸大学国際文化学部 西脇彩央様 寄贈)
- 2022/7/19 シナリオ『大志の果て―日下部太郎&W・E・グリフィス』(坂手成雄様 寄贈)
- 2022/9/29 日下部太郎からフェリス宛て1869年12月12日付書簡(ラトガース大学アレクサンダー図書館所蔵・公開許諾)